【2月19日 AFP】モロッコ・マラケシュ(Marrakesh)のジャマ・エル・フナ広場(Djemma el Fna)名物のヘビ使いたち。彼らの魔術は、ヘビや観光客には通用するが、動物虐待禁止を訴える動物愛護団体には効き目がないようだ。

■名物の「ヘビ使いショー」はヘビの虐待?

 仏動物愛護団体「The Study and Observation Group to Protect Wild AnimalsGEOS」は同広場でのヘビ使いショーは「ヘビへの虐待行為」にあたるとして、観光客に対しショーを見ないよう訴えている。また、関係当局に不快感を表明することも奨励している。

 同団体によると、ヘビ使いショーの中止を求める署名は、運動開始から数日間で200人分が集まったという。

 GEOS創始者のモロッコ系フランス人政治科学者、Michel Aymerich氏(49)は、「自然界で最も嫌われている」ヘビ、サソリ、クモ好きを自認する。「ヘビは耳が聞こえないので、動作に反応する。ヘビ使いが笛を吹くとコブラが鎌首をもたげるのは、音色に合わせているのではなく、脅されていると感じて本能的に守りの姿勢をとっているだけだ。しかも、多くは牙や腺が抜かれ、膿瘍の原因になったり苦痛に満ちた死を招く原因にもなる」

 また、牙が抜かれない場合でも、ヘビには極度のストレスがかかり、ショーを数週間こなしただけで寿命が尽きてしまうという。ちなみに、通常のヘビの平均寿命は12-15年だ。

■「ヘビはわが子のようなもの」とヘビ使いが反論

「やつらはわしらの職業を何もわかっちゃいない」と語るのは、ヘビ使いの第一人者であるLhoussine Hajjajさん(80)だ。「ヘビはわが子のようなもの。稼ぎ手なのだから、教育、食事、健康、すべての面倒を見ている」

 ヘビには、卵や鳥、羊の心臓を与えているという。「元気がなさそうなときは、獣医に薬を処方してもらっている」 

 毒や牙を抜いているという指摘については、強固に否定した。「じゃあ、ヘビ使いが咬まれて死ぬことはどう説明がつくんだ?」 

 寿命が数か月という噂も、「広場には、10年以上活躍しているヘビがいる」と鼻持ちならない様子だった。

 広場で活躍するヘビの大半は、モロッコ南部のゲルミーム(Guelmim)県でとらえられたものだという。(c)AFP/Sammy Ketz