【2月5日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ（Rio de Janeiro）では4日未明、リオのカーニバルのメインイベント、サンバパレードコンテストの1軍のパレードが終了した。今年のパレードには、猿ぐつわをした参加者や、首のないダンサー、巨大な血まみれの赤ん坊など、議論を招くような異様な山車が参加している。

　これらの異様な山車はサンバチーム、Unidos do Viradouroが考案したもので、動物の彫像や半裸のダンサーなどを配した伝統的な山車とは一線を画したデザインになっている。

　口元を布で隠して動かない集団を載せた、覆いが被せられた山車は、Unidos do Viradouroチームの抗議の証だ。前週、リオの裁判所は、ナチス（Nazis）によるユダヤ人大量虐殺「ホロコースト（Holocaust）」をテーマに、山積みになったユダヤ人の『遺体』を装飾した山車とダンサー1人にアドルフ・ヒトラー（Adolf Hitler）の格好をさせようとの同チームの計画に関し、「ナチスの残虐性を軽視するもの」として同チームの出場禁止を言い渡していた。

　同チームの制作担当者パウロ・バロス（Paulo Barros）さんは、出場禁止命令を推進したリオデジャネイロ在住のユダヤ人グループは、死や恐怖、残酷さを表現することで大事なテーマを訴えるという意図を誤解していると不満を漏らす。

　バロスさんは、これは人々がホロコーストを思い出し、このような事件が2度と繰り返されないよう警告するためのものだと語る。

　出場禁止を受け、バロスさんは急きょ山車の手直しを行い、彼が「検閲」と呼ぶものに対する抗議の山車に仕立て上げ、同チームのほかの山車に集中することにした。

　ほかの参加チームは、ゾウやジャガー、オウムやチョウなどの動物を使った、伝統的な装飾の山車が多かったが、Unidos do Viradouroの山車には、巨大な手が、機械化され血だらけでへその緒が付いたままの乳児を持ち上げている装飾や、自分の首を抱えて踊るダンサーなどが配されている。また、スキー場を再現した山車も登場した。(c)AFP/Marc Burleigh