【1月13日 AFP】大西洋に沈む難破船から発見した財宝をめぐり米海底探査会社とスペイン政府が対立している問題で、米フロリダ(Florida)州タンパ(Tampa)の連邦地裁は、探査会社側に財宝の正確な発見場所をスペイン政府に開示するよう命令した。

 米海底探査会社オデッセイ・マリン・エクスプロレーション(Odyssey Marine Exploration)は2007年5月、史上最大規模となる3億7000万ユーロ(約624億円)相当の財宝を発見したが、大西洋沖の公海内の地点で発見したと主張し、正確な場所の公表を拒否していた。

 これに対しスペイン当局は、財宝がスペイン領海で発見されていないことを証明するよう求めていた。

 裁判所はオデッセイ社に、スペイン当局に難破船の所在地を2週間以内に開示するよう命令。同社の利益を保護するため、情報の秘密は保持される。

 また裁判所、発見したすべての財宝の詳細を示す一覧表を提出するよう同社に言い渡し、さらにスペイン当局には陸揚げされた財宝の調査を認めた。

 オデッセイ社は銀貨50万枚と金貨数百枚をはじめ、計17トンにも及ぶ財宝を発見。専門家によると、保存状態や製造時期、製造場所にもよるが、銀貨の場合は1枚数百ドルから4000ドル(約43万5000円)、金貨にはより高額の値が付くという。

 同社は前年5月、財宝をタンパにある本社に移送。スペイン政府は難破船がスペイン籍もしくは同国領海で発見されたならば、財宝はすべてスペインのものだとして、タンパの連邦地裁に提訴していた。

 これに対しオデッセイ社側は、財宝がスペイン製だと判明しても、スペイン籍の難破船で発見されたということにはならないと反論している。

 スペインの警備艇は前年7月と10月に、英領ジブラルタル(Gibraltar)を出港したオデッセイ社の探査船2隻を拿捕(だほ)し、同国裁判所の命令に従い、財宝の製造場所を調べるため家宅捜索を行った。

 タンパの連邦地裁は前年11月、外部に情報が漏えいすることなくオデッセイ社がスペイン当局に情報開示できるよう、双方に秘密保持の契約締結を命じた。

 この問題は国家間の問題にまで発展しており、スペイン政府は前年7月、米政府に対し、考古学的遺産を積んだ同国の難破船に対し、国家主権を保護するよう要請した。(c)AFP/Juan Castro Olivera