【1月5日 AFP】前年12月に米ニューヨーク(New York)にある高層ビルの47階から落下し重体となっていた男性(37)が、意識を取り戻し完全回復に向かっていることが4日、明らかになった。治療にあたっている医師も奇跡にほかならないと驚いているという。

 エクアドル人のアルシデス・モレノ(Alcides Moreno)さんは前月7日、マンハッタン(Manhattan)の高層アパートでの窓ふき作業中に足場が崩れたため、同じく作業中の弟とともに約150メートル下の地面に落下。弟は即死し、モレノさんは肋骨や右腕、両脚の骨折をはじめ、脳や脊髄、胸部、腹部も負傷し重体に。24回の輸血と19回の血漿(けっしょう)輸血を受け、これまでに9回の外科手術を施された。

 ところがクリスマスの日、モレノさんは意識を取り戻し、手をのばして看護師の顔をなでたという。米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙によると、その様子を見ていた妻のロザリオ(Rosario Moreno)さんは、「あなた、妻はわたしよ。わたしに触れてちょうだい」と語りかけたという。直後に発されたモレノさんの第一声は「おれは何をしたんだ」だった。

 ニューヨーク・プレスビテリアン病院(Presbyterian Hospital)のフィリップ・バリー(Philip Barie)医師は、「奇跡を信じるのなら、まさにこれがそうだ。治療はまだ必要だが、回復の見込みは非常に高いとみている」と語る。同医師によると、建物の10階以上から落下した人が助かる見込みはほとんどないという。

 同医師は、「47階から落下して生存する確率は、1%以下ときわめてわずかだ。今回の一件は、飛行機から落ちて助かった類の話に匹敵するね」と驚きを隠しきれない様子で語った。(c)AFP