【12月20日 AFP】オーストラリアで「遊泳中にサメに襲われたが、パンチで撃退した」としてメディアをにぎわした男性が実は窃盗犯で、腕に負った傷は住宅に侵入する際、割った窓ガラスによるものだったという疑惑が持ち上がっている。

「デマ疑惑」の渦中にいるのはスコット・ライト(Scott Wright)容疑者。14日夜にシドニー(Sydney)郊外の人気観光地ボンダイ・ビーチ(Bondi Beach)で遊泳中にサメに腕をかまれたが、鼻先を殴って追い払ったと述べ、世界中のニュースの見出しを飾った。

 テレビ局チャンネル10(Channel Ten)に対しては、撃退後に岸に泳ぎ着いたが岩場でそのまま気を失い、翌15日朝にガールフレンドに発見されたと述べていた。取材の中では前腕に負った深い傷を見せ「もうダメだ、死ぬと思った」と語っていた。ボンダイ・ビーチで人間がサメに襲われたのは約70年ぶりとされていた。

 しかし、現地日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)」のウェブサイト版(www.smh.com.au)は20日、匿名の情報源による話として、腕のけがは実はサメに襲われたとする日の数日前に窃盗に入ろうとし、割った住宅の窓ガラスによって自分で負傷したものだと報じた。

 報道によると、ある女性がけがについて質問した際の答えは、15日に「サメにかまれた」だけだったという。また「サメ撃退」後、今週に入りこの男性はボンダイで窃盗の罪で逮捕され、拘束されているという。(c)AFP