【12月12日 AFP】インドネシアの北マルク(North Maluku)州ハルマヘラ(Halmahera)島の住民たちが、火山灰や煙を噴出し島民を苦しめたガムコノラ山(Gamkonora)に今では感謝していると、国営アンタラ(Antara)通信が11日報じた。

 ガムコノラ山は7月、数日間にわたって火山岩や煙を噴出するなどの噴火の兆候をみせ、周辺地域住民数千人が避難を余儀なくされた。この時に噴出した火山灰が山ろくのヤシ畑を害虫から守っているのだという。

 ヤシの実を乾燥させてつくる加工食品は同島住民の貴重な収入源だ。しかし、同島はヤシの木の葉を食い荒らしココナツの収穫に大打撃を与える害虫被害に長年悩まされてきた。

 アンタラ通信は「以前は害虫にやられてヤシの木が全滅することも多かった。しかし、今年、ガムコノラ山が火山灰を噴出してからは、害虫被害が全くみられない」という地元農民の話を伝えた。別の島民は「ガムコノラ山が噴煙を上げたとき、吹き散らされた火山灰が原因でせきや風邪のような症状に多くの島民が苦しめられたが、今はその火山灰がわれわれを害虫から守ってくれている」と話している。

 同じハルマヘラ島内でも、火山灰が降り積もらなかった地域は、今でも害虫被害に悩まされているという。

 ガムコノラ山は、これまでに12回の噴火の記録が残されている。最後に噴火したのは20年前。大陸プレート境界の環太平洋火山帯上に位置するインドネシアは、地震や火山噴火が頻発する。国内の活火山数では世界一だ。(c)AFP