【12月6日 AFP】人間の男性は花束を贈って女性を口説こうとするが、アマゾン(Amazon)川に生息するアマゾンカワイルカ(Amazon DolphinPink Dolphin)のオスは、水草を運んでメスを射止めようとするとの研究結果が英科学誌ニュー・サイエンティスト(New Scientist)の次号で紹介される。

 英国南極調査所(British Antarctic SurveyBAS)のTony Martin氏やブラジルの国立アマゾン研究所(National Institute of Amazonian Research)のVera da Silva氏らは、アマゾンの浸水林保護区マミラウア(Mamiraua)で、約6000グループのイルカを3年間にわたって研究した。

 これらのうち、221グループで、少なくともイルカ1頭が水草や棒切れ、泥などの物体を運んだ。その多くがオスのイルカで、グループの中にはメスが含まれていた。

 研究によると、この「物体を運ぶグループ」の中の成獣のオスイルカは、ほかのグループのイルカに比べて攻撃性が一段と強かった。これは、物を運ぶ行為が単なる遊びではなく、性的アピールを意味するからだという。

 大人と子どものイルカの遺伝子解析も行われ、この解釈を支持する結果が出た。最も頻繁に物を運ぶイルカの中に、最も優秀な父親イルカが多いことが示された。

 これまでヒトとチンパンジーだけが、パートナーを勝ち取るためにこのような行動をとるとされてきた。

 Martin氏らは、前週南アフリカで行われた海のほ乳類についての会議でこの研究結果を発表した。(c)AFP