【12月5日 AFP】経済協力開発機構(OECD)は4日、57か国・地域の15歳を対象に実施した2006年「国際学習到達度調査(PISA)」の結果を公表した。日本は、数学が2003年の前回調査の6位から10位に、科学は2位から6位に後退するなど、日本の高校生の学力低下が浮き彫りになり、高い技術力を誇ってきた日本には衝撃的な結果となった。

 科学のトップはフィンランドが首位を守り、これに香港、カナダ、台湾が続く。最下位は米国だったが科学関連の仕事に就きたいとの回答では3位だった。

 同調査によると、日本は2000年の調査ではトップだった数学で6位、2回続けて2位を維持していた科学でも6位に転落。さらに、科学関係の仕事に就きたいと回答した高校生は7.8%で、対象となった57か国・地域中、最も低かった。

 この結果を受け、渡海紀三朗(Kisaburo Tokai)文部科学相は4日、「科学的応用力の順位が下がったことは残念。理数教育の充実に向けた学習指導要領改定などに取り組みたい」と述べた。

 日本経済新聞(Nikkei)は社説で、今回、初めて調査対象に加わり数学応用力で1位となった台湾をはじめ、総体的に好成績を上げたアジア諸国とは対照的に日本の高校生が著しい学力低下をみせた現状に、日本社会は深刻な危機感を持つ必要があると指摘。学力低下がこのまま続けば、国際社会における日本の地位低下にもつながりかねないと警鐘を鳴らした。

 読売新聞(Yomiuri Shimbun)も社説でこの問題を取り上げ、「理数系の落ち込みに対する危機感が足りない」として文科省や「ゆとり教育」政策を批判、技術立国としての日本の将来に対する憂慮を示した。

 2002年に導入された授業時間を大幅に短縮するゆとり教育は、各方面から批判を受け、現在、授業時間を再び増やす方向で中央教育審議会での審議が続けられている。(c)AFP