【12月1日 AFP】タイの首都バンコク（Bangkok）郊外で、総選挙の立候補者が高齢男性の票を買収するために性機能改善薬のバイアグラ（Viagra）を無料で配布していることが明らかになった。地元の政府当局者が11月30日、伝えた。

　タイでは23日、昨年9月の無血クーデターでタクシン・シナワット（Thaksin Shinawatra）前政権が軍部に倒されて以来初めてとなる総選挙が実施される。

　バンコク北郊のPrathumthaniの地元政府当局者によると、複数の立候補者が票と引き換えにバイアグラを配布しているとの報告を地元住民から受けたという。この当局者はAFPに対し、「立候補者から数錠を受け取った村民が、同じく立候補しているわたしの兄弟に投票するからと言って、わたしにもバイアグラやコーヒーを要求してきた」と語った。

　長い間、票の買収が横行しているタイでは最近、法の規制が厳しくされたばかり。買収の罪で有罪になれば最長で懲役10年、収賄側は最長で懲役5年の刑に処される。

　同国選挙管理委員会（Election Commission）の調査員は、バイアグラによる買収についての正式な苦情は今のところ寄せられていないとし、「（もし寄せられたとしても）おかしな苦情だ」と語った。

　この調査員によると、買収されて政党に加入した人や、投票と引き換えに現金の支払いを約束された人からの苦情が最も多いという。(c)AFP