【11月3日 AFP】国連人口基金(UN Population FundUNFPA)は、男の子の誕生を望む文化が根強いベトナムで、超音波や中絶手術の普及によって新生児の男女比が大きく崩れ始めていると発表した。

 新生児の男女比の国際平均は女児100人につき男児105人だが、ベトナムでは女児100人につき男児が110人、一部の地域ではこの差が100対120まで広がっている。この傾向は中国やインドでもみられるという。

 今回の猪年が男児を産むと縁起が良いとされる「Year of the Golden Pig(金猪年、の意)」に当たるため、専門家は男女比がさらに広がりかねないと懸念する。

 1950年代半ば、北ベトナムは男女平等をうたった家族法を施行。しかし古い慣習はなくならず、男の赤ちゃんを扱った広告や男の子の人形が人気を集め、いまだに「男の子志向」が根強い。

 ベトナムでは長年にわたり「2人っ子政策」が実施されていた。中国の「1人っ子政策」ほど強制的に施行されなかったが、現在でも都市部から離れた地域や職場などでは子どもの数の制限が奨励されている。

 2003年には男女産み分けを目的とした中絶が法律で禁止されたが、経済発展により超音波検査が普及した今日のベトナムでは、医師から簡単に性別を聞きだすことができる。

 ベトナムでは中絶が合法化されており、広く行われている。統計学者らは男女比の不均衡について以前から懸念してきたが、これまでは裏づけとなる全国的なデータがなかった。

 同国政府が発表した人口調査をもとにUNFPAが行った調査結果により、ベトナムでの男女比の不均衡に新たな警鐘が鳴らされた。(c)AFP/Frank Zeller