年間の犠牲者100人、非難高まるインドの「殺人バス」
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【10月12日 AFP】インドの首都ニューデリー(New Delhi)で、民営バスが相次いで死亡事故を起こし、「殺人バス」との非難が高まっている。これに対しバスの運転手らは、真の問題は腐敗した警察の取り締まりとせっかちな乗客だと反論している。
ニューデリーでは7日、通勤する人々の中にバスが突っ込み8人が死亡した。民営バスによる事故の犠牲者は今年だけでもおよそ100人に上る。
同市内を走る民営バスは「ブルーライン(Blueline)バス」と呼ばれ、現在約4500台が運行しているが、市当局は来月にもこれを段階的に廃止する措置を取る方針だ。また、警察当局も、危険な運転手の取り締まり強化を発表した。
■腐敗した警察による取り締まり
ただ、バスの運転手らは、「警察は目についた違反行為に大量のチケットを切るだけで、何の改善にもならない」と当局の対応に批判的だ。
複数の運転手の話によると、ニューデリーの路上ではわいろがまかり通り、各検問所で「入場料」と呼ばれるわいろを警察官に渡せば、違反をしても罰金額や違反切符を切られる回数を最少限に抑えられるという。どのバス路線にも十数か所の検問所があることから、バス1台につき毎月数千ルピーのわいろを渡している計算になる。
ある運転手は、「今までは1回の検問につき100ルピーで済んだのに、罰金がつり上げられたあとは250ルピーになった」と話した。運転手歴13年のこの運転手の月収は約6000ルピーだという。
こうしたわいろはバスの所有者が支払い、地元メディアでも広く報じられているが、警察当局は「厳しく取り締まりを行っており、そのような苦情を受けたことはない。運転手らの言いがかりだ」として、関与を否定するとともに、取り締まりの効果を強調している。
■市民の交通マナーにも問題が
1400万人がひしめくニューデリー市内では、危険なオートバイの運転や不注意な利用客が問題となっている。バス運転手の1人は、「バスの左側を走っているバイクが、バスのすぐ前を横切って右に曲がろうとしたりする。バイクが見えた時にはもう手遅れだ」と話した。また、安全を確認せずバスに飛び乗ったり飛び降りたりする乗客も少なくない。
利用客のひとりは、「ブルーラインバスは、乗客を拾おうとしている時はだいたい時速40キロで走っている。それ以外では軽く100キロは出ているだろう。安全なブルーラインバスなどないのさ」と語った。
■改善への遠い道のり
インドのバスには時速40キロ以上のスピードが出せないよう、速度抑制装置が義務付けられているが、当局の調べではすでに826台のバスでこの装置が使用不能にされているのが見つかっている。
しかし、民営バスは国営バスより頻繁に5-10分置きに運行しており、当局が掲げるブルーラインバス廃止の公約に期待する利用客は少ない。
別の利用客は、「全くひどい状況だ。法律の施行がまったくできていない。朝に乗客をひき殺した運転手が、夜までに仕事に戻っていることもある」と非難した。
民営バスより安全だといわれる国営バスは、3500台が市内を運行している。国営バスによる事故の犠牲者は今年これまでに24人だという。(c)AFP/Tripti Lahiri
ニューデリーでは7日、通勤する人々の中にバスが突っ込み8人が死亡した。民営バスによる事故の犠牲者は今年だけでもおよそ100人に上る。
同市内を走る民営バスは「ブルーライン(Blueline)バス」と呼ばれ、現在約4500台が運行しているが、市当局は来月にもこれを段階的に廃止する措置を取る方針だ。また、警察当局も、危険な運転手の取り締まり強化を発表した。
■腐敗した警察による取り締まり
ただ、バスの運転手らは、「警察は目についた違反行為に大量のチケットを切るだけで、何の改善にもならない」と当局の対応に批判的だ。
複数の運転手の話によると、ニューデリーの路上ではわいろがまかり通り、各検問所で「入場料」と呼ばれるわいろを警察官に渡せば、違反をしても罰金額や違反切符を切られる回数を最少限に抑えられるという。どのバス路線にも十数か所の検問所があることから、バス1台につき毎月数千ルピーのわいろを渡している計算になる。
ある運転手は、「今までは1回の検問につき100ルピーで済んだのに、罰金がつり上げられたあとは250ルピーになった」と話した。運転手歴13年のこの運転手の月収は約6000ルピーだという。
こうしたわいろはバスの所有者が支払い、地元メディアでも広く報じられているが、警察当局は「厳しく取り締まりを行っており、そのような苦情を受けたことはない。運転手らの言いがかりだ」として、関与を否定するとともに、取り締まりの効果を強調している。
■市民の交通マナーにも問題が
1400万人がひしめくニューデリー市内では、危険なオートバイの運転や不注意な利用客が問題となっている。バス運転手の1人は、「バスの左側を走っているバイクが、バスのすぐ前を横切って右に曲がろうとしたりする。バイクが見えた時にはもう手遅れだ」と話した。また、安全を確認せずバスに飛び乗ったり飛び降りたりする乗客も少なくない。
利用客のひとりは、「ブルーラインバスは、乗客を拾おうとしている時はだいたい時速40キロで走っている。それ以外では軽く100キロは出ているだろう。安全なブルーラインバスなどないのさ」と語った。
■改善への遠い道のり
インドのバスには時速40キロ以上のスピードが出せないよう、速度抑制装置が義務付けられているが、当局の調べではすでに826台のバスでこの装置が使用不能にされているのが見つかっている。
しかし、民営バスは国営バスより頻繁に5-10分置きに運行しており、当局が掲げるブルーラインバス廃止の公約に期待する利用客は少ない。
別の利用客は、「全くひどい状況だ。法律の施行がまったくできていない。朝に乗客をひき殺した運転手が、夜までに仕事に戻っていることもある」と非難した。
民営バスより安全だといわれる国営バスは、3500台が市内を運行している。国営バスによる事故の犠牲者は今年これまでに24人だという。(c)AFP/Tripti Lahiri