【9月26日 AFP】低く太い声を持つ男性は女性を惹きつける力も強く、結果として子供をもうけることになる--このような研究結果が25日に報告された。

 男性の声の高低と、もうける子供の数に相関性があることが明らかにしたこの研究を発表したのは、ハーバード大学(Harvard University)で人類学を専攻する大学院生のCoren Apicella氏。

 同氏は、狩りや採取をしながら移動をして暮らすタンザニアのハツァ(Hadza)族を対象に、2006年に6か月間、現地で研究調査を実施した。ハツァ族の9つの宿営地を訪れ、49人の男性、52人の女性に、マイクロホンで「こんにちは」を意味する「Hujambo」という言葉を吹き込んでもらい、その周波数を分析。その後、被験者に「何人の子供をもうけ、そのうち何人が生存しているのか」を質問したという。

 その結果、低い声の男性は高い声の男性よりも子供の数が多いことが判明した。過去の研究では男性は高い声の女性を好むとされていたが、同実験によると女性の声の高さは「子だくさん」とは関係なかったという。さらに、子供の死亡率は父親の声の高低とは関係がないことも分かった。

「低い声の男性の子供のほうが必ずしも健康だということではない。過去の仮説が示すような、『声の低い男性が優れた遺伝子を残す』ということではなく、そういう男性は女性と性交渉におよぶことが多いため、子どもの数が多いと言うことだろう」とApicella氏は語る。

 この研究は、男性の声の低さと、ダーウィンが提唱した「適者生存」説との関連性を探る初の試みとして、ハーバード大学およびカナダのマクマスター(McMaster University)大学、フロリダ大学(Florida Univwersity)により共同で進められた。この場合の「適者生存」とは、「どれだけの子供をもうけることができるのかということだ」とApicella氏は定義している。

 Apicella氏はタンザニア滞在中に、同じ男性の声の周波数を変えて声を高くしたり低くしたりした上で、「どちらの声の持ち主が狩りがうまそうか」を聞くという調査も実施した。すると、多くの女性は低い声の方だと回答。この調査結果は公式には発表されていないが、やはり「声の低い男性は女性を惹きつけ、より多くの子供をもうける」という仮説を支持するものとなったと同氏は指摘している。(c)AFP/Karin Zeitvogel

Coren Apicella氏の公式ページ