【9月12日 AFP】人口減少が進むロシアで出生率の増加を目指すウリヤノフスク(Ulyanovsk)州当局は10日、9月12日を「家族計画の日に制定したと発表した。

 9月12日は翌年6月12日のロシアの独立記念日のちょうど9か月前に当たり、同州当局広報の話によると、母親たちが独立記念日に合わせて出産できるよう日にちを制定したという。

 同州は「家族計画の日」の目的を「人口動態の改善と家族価値の再確認」と位置づけ、家族価値をテーマとした演奏会や展覧会が企画しているほか、市民らにも任意休暇の取得が奨励している。さらに、4か年計画で幼稚園の増設・改築が行われていることも明らかにした。

 セルゲイ・モロゾフ(Sergei Morozov)州知事の発案で、独立記念日に出産した親には賞品としてテレビやロシア製ATV車などが与えられるという。

 一方、10日付けの「新イズベスチヤ(Novye Izvestiya)」紙は、地元市民らが12日を「受精日」と揶揄している実態を報じたほか、同州の市民社会が「受精日や出産日まで当局に指示される段階にまで陥っている」と危機感を募らせる人権活動家の声を紹介している。

「家族計画の日」制定の背景には、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、人口減少対策を優先国家課題の1つに挙げている事情もあるとみられる。

 出産を表彰する慣習はソビエト時代にさかのぼり、当時、子だくさんの女性は「英雄」と賞賛された。

 ウリヤノフスク(旧シンビルスク)は首都モスクワから900キロ東に位置し、ソビエト連邦の創設者ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)の本名ウリヤノフ(Ulyanov)にちなんで名づけられた都市。(c)AFP