【9月10日 AFP】9.11同時多発テロにより、中心街が広範囲にわたり破壊されてから11日で丸6年が経つニューヨークで、崩壊したスカイラインを再建する計画が進行している。

■再建遅れる「グラウンド・ゼロ」、不動産開発会社が再建の指揮担う

 大規模な不動産開発を営むラリー・シルバースタイン(Larry Silverstein)氏は、2001年の同時テロのわずか2か月前に、世界貿易センターの賃借権を取得していた。現在は、数十億ドルをかけた再建計画の指揮を執っている。

 同時テロが起きた「グランド・ゼロ(Ground Zero)」跡に唯一建てられたビルの10階にある部屋には設計図が散乱し、シルバースタイン氏が少数の建築家、エンジニアとともに仕事に取り組んでいる。

 目標は、かつての世界貿易センター(World Trade Center)跡に21世紀型の都市センターを再建すること。

 世界貿易センター跡の再建計画に関する論争は長年にわたって続き、多額の賠償金を求める訴訟などで再建計画は大幅に遅れていたが、シルバースタイン氏は5月に保険企業グループとの間に20億ドル(約2260億円)の契約を結び、この論争に終止符を打った。

 しかしシルバースタイン氏の熱意にもかかわらず工事は遅々として進まず、6年前、ハイジャックされた旅客機の突入により灰じんと帰した世界貿易センターの跡は今でもその大部分が工事現場の姿をそのままとどめている。

 グランド・ゼロに唯一再建されたのは52階建ての世界貿易センタービル7号棟。

■フリーダム・タワー

 再建計画の最大部分を占めるフリーダム・タワー(Freedom Tower)建設の指揮を執っているのはDaniel Libeskindさん。2011年の前半に完成予定の工事は一連の遅れで昨年ようやく始まった。

 ビルを支える巨大な鉄柱はすでに埋設され、デービッド・チャイルズ(David Childs)氏が設計した全長541メートルの建物の全フロア面積は25万平方メートルに達する予定。

 高さは米国の独立の年にあわせて1776フィート(約540メートル)になっている。

■日本人建築家も設計に参加

 再建予定の3号棟は71階建ての鉄筋とガラスのオフィスビルでリチャード・ロジャーズ(Richard Rogers)氏が設計。ダイヤモンド形の支柱を用いる予定。また、4号棟は槇 文彦(Humihiko Maki)氏がミニマリズムに基づき設計したビルが予定されている。

 3号、4号棟とも2011年の完成予定。英国の建築家ノーマン・フォスター(Norman Foster)氏が設計した79階建ての2号棟ビルは、ニューヨークで2番目に高いビルになる予定で、完成は2012年。

 シルバースタイン氏は、2、3、4号棟の建設は来年1月に開始され、完成は2013年になる見積もっている。

■追悼記念碑は2009年の完成予定

 再建計画の大きな部分を占め、完成が7号棟の次に早いとみられるのは、スペインの建築家サンティアゴ・カラトラヴァ(Santiago Calatrava)氏が設計するトランジット・ハブ。

 恐竜のステゴザウルスのようだとの批判も呼ぶ建築物は、ライトが地上にまで届く設計で2009年完成の予定。

 追悼記念の建物「Reflecting Absence(不在に思いをめぐらすの意)」も2009年に完成予定で、崩壊したツインタワー跡に四角い空間を作り出す。

 この記念碑の鉄柱は今年末か来年の初めに組み立てられる予定。ここには博物館も建設が予定されている。

 「9.11の記念館National September 11 Memorialは同時テロから回復したニューヨーク市民のシンボルとして、再建されより活気に満ちたマンハッタン南部の中心的存在となる」とプロジェクト責任者のジョー・ダニエルズ(Joe Daniels)氏は語った。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa