【8月25日 AFP】(一部更新)ニュージーランドのオークランド(Auckland)で、ナチス(Nazi)式敬礼をしたアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の手にピザを持たせた広告看板が物議を醸し、看板が取り下げられる騒ぎになった。

■ヒットラーを広告に使ったのは「地獄ピザ」

 問題となったのは宅配ピザのチェーン店、「Hell Pizza(地獄ピザ)」の広告。歴史上有名な人物が登場する連作の広告で、今回はヒトラーが登場した。

「『地獄(ピザ)は天国だ』と人々に信じ込ませることは可能なこと」というコピーが添えられたこの広告は、同国の主要4都市ので設置された。

 看板を制作したオークランド(Auckland)の広告代理店 Cinderella advertising agencyKirk MacGibbo氏は24日、「ヒトラーがピザを手に持って『ジーク・ハイル(sieg heil)(戦前ドイツ式の勝利万歳)』の敬礼をする姿が、こっけいに見えることを期待したのだが」と述べた。

 MacGibboはさらに、「ヒトラーを広告に用いたことで、不快に感じたユダヤ系住民の一部から苦情があった」と述べ、広告撤去の経緯を説明した。また、「笑いは、対象の力を奪いとるもの。しかし今日でも、笑いの対象にすることがふさわしくないものがあるようだ」との見方を示した。

■ヒットラーの次はローマ法王が登場

 それでもHell Pizzaのお騒がせは止まらない。南部の都市クライストチャーチ(Christchurch)で、差し替えられた広告に登場したのは、ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)。宣伝文句は、「地獄(ピザ)は実在し、永遠なり」だ。

 Hell Pizzaは前年、カトリック教の「七つの大罪」の1つである「色欲」をテーマにした「Lust pizza(色欲ピザ)」を発売。販売促進として、ニュージーランド各地で郵便受けにコンドームを入れるPR作戦を行い、カトリック信徒をはじめ、各方面から抗議を受けた。

 これについてMacGibbo氏は、「七つの大罪」の1つの「傲慢」を象徴するような表情に浮かべ、「ニュージーランドで、最も批判を受けた販売促進キャンペーンだった」と自慢げに述べた。(c)AFP