【8月18日 AFP】CDの発売開始から17日で25周年を迎えた。1982年8月17日、独ハノーバー(Hannover)近郊にあるオランダの家電大手フィリップス(Philips)の工場で、最初のCDがプレスされた当時、この技術がエンターテイメントの世界に革命を起こそうとは誰も考えていなかった。CDはフィリップスとソニー(Sony)が共同開発して以来、世界中で2000億枚以上が販売されたと見積もられている。

 当時CDの開発に関わったフィリップスの技術者、Piet Kramerさんは「コンピュータ業界やエンターテイメント業界が、増え続けるデータ、コンピュータプログラム、映画などを保存するためにCDを選ぶとは、1970年代後半から80年代には想像もできなかった」と語る。1990年代までに、CDはアナログ・レコードを駆逐しただけではなく、CD-ROMやDVDなどでデジタル・ディスクの新たな道をも切り開いた。

 フィリップスは当初、映像向けの大型のデジタル・ディスクを考えていたが失敗。同社の技術者たちの発案でより小さな音楽用のディスクとして開発したのがCDの始まり。最初のCDは、フィリップスの音楽レーベルだったポリグラム(Polygram)に所属の、ABBA(スウェーデン)の「The Visitors」とヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan)指揮によるリヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss)作曲「アルプス交響曲(An Alpine Symphony)」だった。

 初期のCDは非常に地味だったが、フィリップスはクラシックの愛好者はCDの音質を気に入ると見て、主にクラシックCDを中心に発売していた。さらに同社は、クラシック愛好者はポップスやロックの愛好者よりも裕福で、高価なCDにも抵抗がないと見ていた。実際、CDプレーヤーの初期モデルは、約2000ギルダー(現在の価格で約23万円)もした。

 CDはレコードでは表現できなかった音質を表現できた。当時のCD録音関係者は、CDでは演奏者の息づかいまで聞き取ることができたと語る。

 発売当時、CDの販売は低調だったが、1985年に英国の人気ロック・バンド、ダイアー・ストレイツ(Dire Straits)が、初めて全曲デジタル録音されたCDアルバム「Brothers in Arms」を発表。これがミリオンセラーとなり、CDがこれからの音楽フォーマットとして確立された。

 IPodなどのMP3プレーヤーに音楽を直接ダウンロードすることが一般的となりつつある現在、CDが30周年を迎えられるか疑問の声もある。最近10年では、CDの売り上げは落ちており、また国際レコード産業連盟(International Federation of the Phonographic IndustryIFPI)によると、ダウンロード型音楽の販売は、2010年までに、世界中の音楽販売の4分の1を占めると見られている。(c)AFP/Stephanie van den Berg