【8月16日 AFP】台湾在住のマレーシア人学生がマレーシア国歌を侮辱するラップソングを歌い、インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブ(YouTube)に投稿したとする問題で、この学生が政府に正式に謝罪した。

 台湾の銘傅(Ming Chuan)大学でマスメディアを専攻する黄明志(Wee Meng Chee)さん(24)は、マレーシアのチュア・ソイレク(Chua Soi Lek)保健相と30分間、電話で話し謝罪したと、マレーシアの国営ベルナマ(Bernama)通信が伝えた。 

「今朝の段階で黄さんに連絡を取ったところ、『混乱を引き起こした自分の歌について、マレーシア政府と国民に正式に謝罪したい』との申し出があった。マレーシアやマレーシア国歌(Negaraku)、イスラムのイメージを侮辱したり汚したりする意図はなかったという」とチュア保健相が電話の内容を明らかにした。

 インターネット愛好家から「Namewee」として知られている黄さんは前週、ビデオでマレーシア国歌のメロディーに広東語とインドネシア語のラップをつけた6分間の歌を投稿。50万人がこれを視聴したが、マレーシア国内では検閲制度に関する大論争を引き起こした。

 マレーシア政府はラップの内容が国内の人種的に微妙な問題に触れており、また警察の腐敗を揶揄する内容もあった部分を問題にした。

 風刺の対象となったマレーシア警察は、黄さんを扇動罪で訴追する可能性もあると表明。扇動罪で有罪の場合、3年以下の刑および5000リンギット(約16万6000円)の罰金が科されたという。しかしこの警察の反応に対し「マレーシアの表現の自由を踏みにじるもの」との批判が、人権活動家を中心にわき起こった。

 チュア保健相は、政府が謝罪を「真摯なものとして」受け入れたと表明、「黄さんは創造性を発揮したかっただけで、まだ高等教育も終えていない若者に厳しい判断を下すべきではない」と語った。(c)AFP