【8月16日 AFP】エルビス・プレスリー(Elvis Presley)がこの世を去って30年。エルビスは、今なお全盛期の頃よりも収入を上げている。「偶像化されたエルビスの姿」は、安っぽい陶製の像から大型キャンペーン広告までに登場、すべてに輝きを与えている。

■エルビス信奉者は出費を惜しまない

 毎年8月にエルビスの命日を記念してメンフィスで開催される「エルビス・ウィーク(Elvis Week)」には、世界中からエルビスを偲ぶファンが訪れる。そうした人々に様々な商品を提供するため、エルビス・グッズを販売するショップが100店以上も出店される。

 皿、ポスター、ライター、時計、ジャンプスーツ、トランプなどの一般的な商品はもちろん、エルビスのボクサーパンツ、歌って動くエルビスの上半身、エルビスのオーガニックコーヒー、カリフォルニアで生産されたエルビスのメルローやシラーズといったワインなど、ちょっと怪しい商品までが並ぶ。

 フィンランドから訪れた男性は、エルビスが1950年代にデザインしたという馬のてい鉄形をモチーフにした指輪のレプリカに87ドル(約10120円)を支払った。10ドル(約1160円)で売られているレプリカもあったが、87ドルのものが最も本物らしかったからだという。

■「エルビスの遺産」を守るために

 「エルビス・ウィーク」で販売されている商品はすべて、エルビス・プレスリー・エンタープライズ(Elvis Presley Enterprises)がライセンスを発行している。同社は「偉大なるエルビスの栄光を守るため」、厳格にエルビスのイメージを管理している。エルビスのイメージや名前の使用許可を求める申請は年間数千件に及ぶが、そのうち2%には申請を認めていない。

 また、同社のジャック・ソーデン(Jack Soden)CEOは、「承認を受けていない商品の発売は続いていますが、我々の専門家が法的な手続きを取っている」と話す。これらの違法な商品による損失は、ライセンスを受けて発売される商品の膨大な売上げに比べれば、大きな額ではない。しかし、ソーデン氏が「遺産」と表現する“偉大なるエルビス”を守るためにライセンスは不可欠なのである。

 エルビス・プレスリー・エンタープライズの2006年の収益は4800万ドル(約58億円)に上ったが、そのうちの1360万ドル(約16億円)はライセンス料によるものだった。

 さらに、2005年に買収総額1億ドル(約116億円)で同エンタープライズの株の85%を取得したロバート・FX・シラーマン氏(Robert FX Sillerman)氏が経営に参加したことにより、エルビス・プレスリー・エンタープライズの業務はさらに拡大、ライセンス料による収益も増加すると見られている。

 一方で、エルビスの栄光を守るためには「好ましくない商品」は、市場から姿を消す。晩年の太りすぎた姿の写真やステージで歌詞を忘れることもあったエルビスの最後の日々の映像は、オフィスの奥深く奥に保管され、公開されることはない。(c)AFP/Mira Oberman