【8月15日 AFP】北朝鮮の金正日(Kim Jong-Il)総書記が米国の名門オーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニック(New York Philharmonic)を平壌(Pyongyang)に招聘したことが14日、明らかになった。

 同フィルの広報担当エリック・ラツキー(Eric Latzky)氏がAFPに明らかにしたところによると、北朝鮮文化省の責任ある立場の人物を通じ、正式に公演の招聘を受けたという。

 世界で最も閉鎖的な国家の1つ北朝鮮で公演を行うとしたら「きわめて異例なこと」なので、応じるかどうかは現在検討中とラツキー氏。しかし「ニューヨーク・フィルはいかなる招聘にも感謝し、公演の可能性を真摯に検討する」とも述べた。

 ラツキー氏は、北朝鮮が核問題などを巡りブッシュ政権から「悪の枢軸」と呼ばれていることも指摘し、公演を行うに場合には米政府の許可が必要となるだろうとの考えを示した。

 その点について、米国務省のショーン・マコーマック(Sean McCormack)報道官は、「ニューヨーク・フィルが平壌公演を行うにあたって障害は何もない」と述べ、「ニューヨーク・フィル自身で決定する問題」と非介入の姿勢を示したが、同時に「北朝鮮の一般市民が同フィルの公演を聴くことが可能だろうか」と疑問も呈した。

 平壌公演が米朝関係の改善に一役買うのではとの質問に対しては、「北朝鮮の核問題については、米政府は6か国協議で話し合う」との原則的立場を強調した。

 平壌公演が実現するとしたら、その時期は2008年初頭に計画されている東アジア公演ツアーの一環になるだろうとラツキー氏は述べたが、金正日総書記から演奏曲のリクエストがあったかどうかについては明らかにしなかった。(c)AFP