【8月15日 AFP】ワニが生息する沼地の木の上で8日間を過ごした男性が14日、オーストラリアの地元紙Courier Mailに恐怖の体験を語った。

 この男性はオーストラリア北東部のヨーク岬(Cape York)半島で牧場を経営するデービッド・ジョージ(David George)さん(56)。

 恐怖の体験はジョージさんが落馬したことから始まった。意識がもうろうとし、流血していることに気がついたジョージさんは、再びウマに乗り帰路に就いたが、夜明け前になり、自分がワニの生息する沼地深くに入り込んでしまったことに気がついた。

 引き返すには危険が大きすぎると判断したジョージさんは、木に上って救助を待つことにした。

 「ワニよりも先に救助隊が自分を見つけてくれることを願ってね」

 闇夜の中で赤い目が木の下からにらんでいるのを見たジョージさんは、ワニに向かって「絶対に落ちるもんか」と叫んだという。

 3日目には、唯一の食料だったサンドイッチも食べ尽くしたが、木から下りればワニの餌食になりかねなかった。

 一方、帰宅しないジョージさんの身を案じ、地元では軍、警察、先住民アボリジニが総動員でジョージさんの捜索をおこなっていた。

 捜索の飛行機は一時ジョージさんの木の6メートル近くまで接近した。ジョージさんはタバコ缶を日光に反射させたり、シャツやトイレットペーパーを旗代わりに振ったりしたが、結局気づいてもらえなかった。

 木の上に避難してから8日目、ジョージさんはようやくヘリコプターに引き上げられた。

 「救助隊員の1人がチョコレートをくれた。最高に美味しかったね」(c)AFP