【8月7日 AFP】真っ白な砂浜が広がるモザンビークの海岸。楽園のように美しいこの観光地で、隣国南アフリカからの投資家と住民の間の対立が先鋭化しつつある。

 1994年にようやく終了した27年におよぶ内戦。ポルトガルの旧植民地モザンビークは、このところ観光ブームに沸いている。白い砂浜と、どこまでも透明な海、そしてリラックスした雰囲気が、外国人の間のモザンビーク人気を高めている。

 しかし、外国人の大量流入に地元の住民はよい顔をしない。特に隣国の南アフリカからやって来る住民は、違法ぎりぎりの手段で土地を入手し、環境を破壊して金儲けをもくろんでいると評判が悪い。

 首都のマプト(Maputo)からフェリーで2時間、Inhaca Islandには100キロにわたる息をのむような美しい海岸線が広がっている。珊瑚礁にマングローブそして内陸部の森林、いずれも観光客を惹きつけてやむことはない。

 しかし、この美しい島で南アフリカの投資家と地元住民の対立が激化しつつある。

 モザンビークの法律は、外国人による土地所有を禁止している。しかし、島の村役場に勤めるLazaro Timbaさんによると、南アフリカ人は、地元の土地所有者の住民と「開発パートナーシップ」を結ぶことにより、この法律を事実上反故にしているという。

 時々、村役場から検査官がやってきて、南アフリカ人が観光をビジネスにしていることが分かると摘発を行うが、ほとんどのケースは法の網の目をくぐり抜けてしまうという。

 モザンビーク北部のInhambane州でも土地を巡る同様の紛争が発生している。地元の住民が特に腹を立てているのは、外国人投資家が裕福な観光客のために海岸をフェンスで囲い、住民を閉め出す行為だという。Inhambane州では、土地を所有することを望む外国人は、地元当局と結託して住民を追い出す手段にさえ出るという。

 モザンビークへの2005年の観光客数は5億7800万人。国内総生産(GDP)の2.5%を稼ぎ出す観光産業だが、脆弱な生態系がその負担に耐えかねて、将来の観光産業の発展に支障が生じる恐れもあるという。

 モザンビークの法務省に勤務する土地、環境問題専門の弁護士、Carlos Serraさんは、法律はあってもそれが十分に執行されていないことが問題だと指摘する。

 しかし、政府のさまざまな失策にもかかわらず、モザンビークの土地と環境関連法の施行状況は徐々にではあるが改善しつつあると、弁護士のSerraさんは楽観的な見通しも示している。(c)AFP/Fran Blandy