英米料理のカフェやレストランがパリで増殖中
このニュースをシェア
【7月20日 AFP】パリ市内の市場通り、向かいはコンテスト受賞歴のあるパン屋で、隣には昔ながらのチーズ専門店という立地に、ブリティッシュカフェを開く。一昔前なら無謀と言われたかもしれないが、最近はずいぶん事情が変わってきた。英国人や米国人がパリで経営するビストロ、ワインバー、ジューススタンドは、「食材へのこだわり」がフランス料理の専売特許ではないと教えてくれる。
■食材の仕入れが難題
オーガニック・カフェの「ローズ・ベーカリー(Rose Bakery)」は、元はロンドンでフレンチデリを経営していた夫妻が4年前にマルティール通り(rue des Martyrs)にオープン。メニューのほとんどに有機食材を使用し、サラダはもちろん、英国名物のスコーンやキャロットケーキも売り切れるという盛況ぶり。その繁盛ぶりに、現地のフレンチカフェがメニューをまねするほどだ。
マルティール通りは昔ながらの食料品店が建ち並ぶ場所。しかし、ロンドンで人気の簡素で健康的なスープやサラダ、ケーキをパリ市民の食卓にも届けたいと願って店をオープンしたオーナー夫妻の前に、予期せぬ障害が立ちはだかった。望むような食材が手に入らないのである。
オーナーシェフのローズさんは「食材の質にがっかりした」という。「フランス人は食材にこだわると言うが、本当にいい食材を見つけるまでに半年もかかった。ロンドンで見つけるほうがずっと簡単」と話す。有機食材の仕入れ先は何とか無事に見つけたものの、結局、小麦粉とリンゴ、ベーコン、チーズは英国から取り寄せている。
おすすめはキッシュとサラダ。サラダは定期的に使用食材を変えてバラエティを出す。ローズさんによると「キャロットケーキやオートミールのデーツスクエアといったなじみのない食べ物も、1度食べた人には納得してもらえた」という。
■英国人が作るビストロ料理は英仏のチーズを使ったコースが人気
ローズさん夫妻よりも経営のアプローチがもう少しフランス寄りなのは、サンジェルマン(St-Germain)にこぢんまりとしたビストロ、「ル・タンブル(Le Timbre)を構えるクリス・ライトさん。ライトさんは英国マンチェスター(Manchester)の出身だ。
ル・タンブルでは「ミシュラン・ガイド(Michelin Guide)」で高い評価を得ているレストランと同じ仕入れ先から材料を購入。市場で着想を得るという独自のビストロ料理は、材料そのものの持ち味を引き出したメニューばかりだ。ル・タンブルの真の違いはチーズのコースにある。
大胆にも「le vrai et le faux fromage(本物のチーズと偽物のチーズ)」と名付けられた同コースでは、英仏の名物チーズを巧みに組み合わせて提供する。
■新鮮な食材にこだわり、メニューは日替わりコースのみ
フランスで成功したもう1人の若き英国人シェフ、ダニエル・ローズさんは、もともとは哲学を専攻する学生だった。有名レストラン「ル・ビオロン・ダングレ(Le Violon d’Ingres)」がある建物の上階に暮らすうちに、料理に興味を持つようになったという。
いくつかの有名レストランで修行を積んだのち、活気のあるピガール(Pigalle)にモダンビストロ「スプリング(Spring)」をオープンした。ローズ・ベーカリーからも近い。
新鮮な食材にこだわるダニエルさんは、メニューを日替わりコース1種類に絞り、その日に必要な量の食材しか仕入れないそうだ。
■フランス人が経営する英米料理の店も
こうしたレストランの成功は今に始まったことではない。英国人2人で経営する「ウィルズ・ワイン・バー(Willi’s Wine Bar)」は1980年のオープンだ。サンジェルマンにはニュージーランド人の夫婦が経営する老舗ワインバー「フィッシュ(Fish)」がある。
そして最近では、フランス人が英米風のレストランやカフェをオープンする例も増えてきた。
パリでも人気のジューススタンド・チェーン、ワナジュース(Wannajuice)の経営者はオーストラリア人。最近では、これを見本にフランス人が経営するBioboaやBoostといったジューススタンドが市内各所で見られるようになった。
サンドイッチは英国で誕生したが、その専門店「Bert’s」をパリでチェーン展開するのはフランス人実業家。ライバル店の「コジャン(Cojean)」もフランス人の経営だ。
フィリップ・タイユールさんは、もともとパリ郊外でスーパーマーケットを経営していたが、リュクサンブール公園(Luxembourg gardens)近くの自宅アパート階下にある廃業したパン屋を買い取った。自称英国びいきのタイユールさんは、改装工事に数か月をかけ、その名も「ブレッド&ロージズ(Bread & Roses)」といかにも英国風に改めて店の営業を再開。現在では、スコーン、キャロットケーキ、穀物や種子を使った自然派のパンを販売している。そしてもちろん、クロワッサンも。(c)AFP/Rosa Jackson
■食材の仕入れが難題
オーガニック・カフェの「ローズ・ベーカリー(Rose Bakery)」は、元はロンドンでフレンチデリを経営していた夫妻が4年前にマルティール通り(rue des Martyrs)にオープン。メニューのほとんどに有機食材を使用し、サラダはもちろん、英国名物のスコーンやキャロットケーキも売り切れるという盛況ぶり。その繁盛ぶりに、現地のフレンチカフェがメニューをまねするほどだ。
マルティール通りは昔ながらの食料品店が建ち並ぶ場所。しかし、ロンドンで人気の簡素で健康的なスープやサラダ、ケーキをパリ市民の食卓にも届けたいと願って店をオープンしたオーナー夫妻の前に、予期せぬ障害が立ちはだかった。望むような食材が手に入らないのである。
オーナーシェフのローズさんは「食材の質にがっかりした」という。「フランス人は食材にこだわると言うが、本当にいい食材を見つけるまでに半年もかかった。ロンドンで見つけるほうがずっと簡単」と話す。有機食材の仕入れ先は何とか無事に見つけたものの、結局、小麦粉とリンゴ、ベーコン、チーズは英国から取り寄せている。
おすすめはキッシュとサラダ。サラダは定期的に使用食材を変えてバラエティを出す。ローズさんによると「キャロットケーキやオートミールのデーツスクエアといったなじみのない食べ物も、1度食べた人には納得してもらえた」という。
■英国人が作るビストロ料理は英仏のチーズを使ったコースが人気
ローズさん夫妻よりも経営のアプローチがもう少しフランス寄りなのは、サンジェルマン(St-Germain)にこぢんまりとしたビストロ、「ル・タンブル(Le Timbre)を構えるクリス・ライトさん。ライトさんは英国マンチェスター(Manchester)の出身だ。
ル・タンブルでは「ミシュラン・ガイド(Michelin Guide)」で高い評価を得ているレストランと同じ仕入れ先から材料を購入。市場で着想を得るという独自のビストロ料理は、材料そのものの持ち味を引き出したメニューばかりだ。ル・タンブルの真の違いはチーズのコースにある。
大胆にも「le vrai et le faux fromage(本物のチーズと偽物のチーズ)」と名付けられた同コースでは、英仏の名物チーズを巧みに組み合わせて提供する。
■新鮮な食材にこだわり、メニューは日替わりコースのみ
フランスで成功したもう1人の若き英国人シェフ、ダニエル・ローズさんは、もともとは哲学を専攻する学生だった。有名レストラン「ル・ビオロン・ダングレ(Le Violon d’Ingres)」がある建物の上階に暮らすうちに、料理に興味を持つようになったという。
いくつかの有名レストランで修行を積んだのち、活気のあるピガール(Pigalle)にモダンビストロ「スプリング(Spring)」をオープンした。ローズ・ベーカリーからも近い。
新鮮な食材にこだわるダニエルさんは、メニューを日替わりコース1種類に絞り、その日に必要な量の食材しか仕入れないそうだ。
■フランス人が経営する英米料理の店も
こうしたレストランの成功は今に始まったことではない。英国人2人で経営する「ウィルズ・ワイン・バー(Willi’s Wine Bar)」は1980年のオープンだ。サンジェルマンにはニュージーランド人の夫婦が経営する老舗ワインバー「フィッシュ(Fish)」がある。
そして最近では、フランス人が英米風のレストランやカフェをオープンする例も増えてきた。
パリでも人気のジューススタンド・チェーン、ワナジュース(Wannajuice)の経営者はオーストラリア人。最近では、これを見本にフランス人が経営するBioboaやBoostといったジューススタンドが市内各所で見られるようになった。
サンドイッチは英国で誕生したが、その専門店「Bert’s」をパリでチェーン展開するのはフランス人実業家。ライバル店の「コジャン(Cojean)」もフランス人の経営だ。
フィリップ・タイユールさんは、もともとパリ郊外でスーパーマーケットを経営していたが、リュクサンブール公園(Luxembourg gardens)近くの自宅アパート階下にある廃業したパン屋を買い取った。自称英国びいきのタイユールさんは、改装工事に数か月をかけ、その名も「ブレッド&ロージズ(Bread & Roses)」といかにも英国風に改めて店の営業を再開。現在では、スコーン、キャロットケーキ、穀物や種子を使った自然派のパンを販売している。そしてもちろん、クロワッサンも。(c)AFP/Rosa Jackson