【7月15日 AFP】中国南部の広東(Guangdong)省でネズミが食卓に戻ってきていると中国の複数のメディアが報じている。隣の湖南省(Hunan)の洪水で大発生したネズミを業者らが売りさばいていることが背景にあるようだ。

 14日付けのInformation Times紙は、広東省のBaiyun地区の野生動物市場に深夜ネズミを満載したトラックが乗りつけ、業者に売りさばいている場面を目撃したと報じた。

 2003年に中国南部で重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory SyndromeSARS)が発生して以降、汚染された肉類による感染拡大防止のためネズミを含む多くの野生動物の販売が禁止された。どの動物が病気を媒介するのか科学者の間にも意見の違いがあるが、それ以降、中国の業者は野生動物の売買ができなくなった。

 広東省で発生したSARSは急速に広まり、全世界で8000人以上が感染、800人以上が死亡、中国だけで349人が死亡した。

 洪水で約20億匹のネズミが巣穴から追い出されたといわれている湖南省の当局者は、15日付けのBeijing Times紙で、ネズミを生きたまま捕獲するのは非常に難しい上、比較的小さいネズミはほとんど肉がついていないとして、Information Times紙の報道を否定している。

 ただ、中国南部では伝統的にネズミは珍味として珍重されており、一部では豚や鶏より栄養があると考えられている。

 Beijing Times紙によると、ネズミは広東省の各地で1匹40-50元(約650-800円)で販売されているという。

 中国では今年に入り、ジャコウネコも食卓に戻りつつあると報じられていた。(c)AFP