【7月11日 AFP】オーストラリア南部タスマニア(Tasmania)州の海岸に、体重250キロの巨大イカが打ち上げられているのが見つかった。タスマニア博物館・アートギャラリー(Tasmanian Museum and Art Gallery)が11日、明らかにした。

 体長8メートル、胴体部分の外套膜(がいとうまく)が直径約1メートルというこの巨大イカは、同州西部ストローン(Strahan)近郊の海岸で10日に見つかった。ダイオウイカ(Architeuthis Dux)という世界最大級の無脊椎(むせきつい)動物で、水深約1キロの深海に生息しているため、生態はほとんど知られていない。同博物館で保存・展示する可能性があるという。

 生きた巨大イカについては2005年に日本の生物学者グループが初めて報告、予想よりはるかに敏しょうで、活発に獲物を捕らえることが分かっている。また、さらに大きな種としては、体長10メートル、体重450キロものダイオウホウズキイカ(別名コロッサル・スキッド、colossal squid)が、今年3月にニュージーランドの海岸で発見された。

■巨大イカは大味?

 船乗りの間で巨大イカは伝説的な存在で、物語の中で船を捕らえて死の海底へと導く怪物のモデルになっている。フランスの冒険小説家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)のSF小説『海底二万里(20,000 Leagues Under the Sea)』には、潜水艦ノーチラス号(Nautilus)を飲み込もうとする巨大イカが登場する。

 胴体部の直径1メートルという今回の巨大イカをフライにすれば、トラックのタイヤほどのイカリングが出来上がる。ただし、巨大イカの体内は浮力を保つためにアンモニアで満たされていて食用には向かず、イカを餌としているマッコウクジラでなければ食指が動きそうにないという。同博物館の学芸員も「全然おいしくないと思う」とコメントした。(c)AFP

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