【7月10日 AFP】オーストラリアのメルボルン(Melbourne)でヘル(地獄、Hell)という名字を持つ少年が、「この名字は、宗教教義の妨げになる」との理由でカトリック系の小学校から入学を拒否された。少年の父親が9日、AAP(Australian Associated Press)に明かした。

 この少年マックス・ヘル(Max Hell)くんの父親アレックス・ヘル(Alex Hell)さん(45)は「今は2007年で、中世のような暗黒時代じゃないんだ」と怒りをあらわにする。ヘルさん自身もカトリック教徒で、3人の子どもの父親だ。「自分の名字の犠牲になるなんて」と肩を落とす。「ヘル」という名字は、オーストラリアに由来をもつ名字だという。

 ヘルさんは当初、マックスくんが入学する地元メルボルンのカトリック系小学校St. Peter the Apostle Schoolの校長に、息子の名字を妻の旧姓のウェンブリッジ(Wembridge)に変更することを提案した。校長もこれを受け入れ、マックスくんの入学を許可した。しかしその後、気が変わったヘルさんが名字は変更しないと伝えると、学校側はマックスくんの入学許可を取り消したという。

 学校側はその後、取り消しを撤回したが、ヘルさんはマックスくんを同校に通わせるつもりはないという。「不愉快な思いをさせられた学校に、どうして息子を通学させたいと思う?」結局、ヘルさんはジーロング(Geelong)へ引っ越しマックスくんを別の学校に通わせるという。

 一方、学校側は、息子の入学に際し名字を変えると言い出したのは両親側だとし、「マックスくんにとって最善の結果となるよう、へルさんの家族と協議中だ」との声明を発表している。(c)AFP