【6月29日 AFP】エジプト政府は28日、12歳の少女が女子割礼(女性器切除)手術後に死亡した事故を受け、同様の手術を全面禁止すると発表した。

 ハーテム・ムスタファ・ガバリ(Hatem Mustafa al-Gabaly)保健相は、「いかなる割礼も違法であり、処罰の対象になる」と明言した。しかし、女子割礼禁止の法制化はこれからであり、法案の議会提出後は激しい議論になることが予想されているが、最終的には可決される見通しだ。

 保健相が全面禁止を明言したのは、12歳の少女が中部の都市ミニヤ(Minya)で割礼手術後に出血多量で死亡するという数日前の事件がきっかけ。女性執刀師に施術料50エジプトポンド(約1000円)を支払った母親は、「麻酔
のミスで死亡した」としてこの執刀師を訴えたが、警察は母親と執刀師を逮捕した。
 
 国際人権監視団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights WatchHRW)」は、「(エジプト政府の決定を)歓迎するが、今後も注視していく必要がある」とのコメントを発表した。

 同国の割礼の歴史は王朝時代にさかのぼり、イスラム教徒、キリスト教徒を問わず女性に広く行われてきた。政府は1997年に割礼を禁止したものの、以後も秘密裏に行われている。2000年の政府調査では、15-45歳の女性の97%が割礼を受けたという結果が明らかになっている。(c)AFP/Ines Bel Aiba