【6月28日 AFP】世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター(The Pew Research Center)」が27日に発表した調査結果によれば、世界各国で反米的な感情が高まる一方、大国ロシアや中国に対する不信感も根強いという傾向が示された。

■親米感情は全世界で、5年続けて後退

 調査は同センターが2002年から実施している世論調査プロジェクトの一環として、過去最多の47か国で、4万5000人から聴き取りを行った。その結果、米国に対する他国のイメージは、過去5年で低下し続けていることが判明。33か国中、26か国で親米感情が後退した。

 地域別に見ると、アフリカ諸国ではコートジボワールで米国支持が88%に達するなど好感を保っている。半面、中東では依然として反感が強く、親米派はトルコの9%のみ。西側諸国でも2002年から2007年にかけて親米感情は軒並み減退。フランスで62%から39%に、ドイツで60%から30%に、英国では75%から51%にそれぞれ減少している。

 ロシアに対する感情にはバラつきがあり、また、中国が軍事的、経済的に存在感を強めていることに対しては相当の不安が示された。

■信頼できる指導者や国家が見いだせない

 世界の指導者としてのジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領に対する信頼は低下の一方。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領も振るわなかった。

 しかし、大国に対する不信感が募ってはいても、反米姿勢を強めるウゴ・チャベス(Hugo Chavez)ベネズエラ大統領やマハムード・アハマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)イラン大統領への信頼が高まるまでには至っていない。

 世界で最も懸念される問題としては多くの国で公害と環境問題が筆頭に上がり、環境破壊に対して最も大きな責任がある国は米国を挙げた人が最も多かった。

 今回の調査に結果について、ピュー・リサーチ・センターのAndrew Kohut代表は記者会見で「世界の人びとは問題がたくさんあると分かっていても、信頼できる個人や国家、機関を見いだせずにいる」と分析。プロジェクトの共同議長を務めたマドレーン・オルブライト(Madeleine Albright)元米国務長官は「ある種冷めた感情」があると指摘し、「世界の大国に対する信頼感の欠如は懸念される」と語った。(c)AFP