【6月24日 AFP】カナダでは近い将来「タコベル高校」や「ウォルマート公立学校」が誕生する可能性がある。財政難に苦しむオタワ・カールトン地区教育委員会(Ottawa-Carleton District School Board)が、資金集めを目的に、学校の命名権(ネーミングライツ)を企業に販売することを検討しているのだ。
 
 命名権販売の提案者らは「企業に命名権を販売すれば、国内の多くの教育委員会が直面している財政赤字拡大に歯止めをかけることができる」と主張する。

 オタワ・カールトン地区教育委員会では前週、6億3480万カナダ・ドル(約735億2000万円)の予算が可決されたが、大幅な歳出削減にもかかわらず620万カナダ・ドル(約7億1800万円)の赤字が残る計算だ。

 同教育委員会のRiley Brockington氏は、オタワ・シチズン(Ottawa Citizen)紙に対し「わたしは、『Loeb Library』や『Cognos Centre of Performing Arts』といった名称にまったく抵抗がない」と語り、命名権販売計画への支持を表明した。同氏が挙げた名称はそれぞれ、食品チェーンとソフトウェア企業を連想させるものだ。

 だが、この計画が「万人に対する教育」を損なうと懸念する公教育支持者からは非難の声が上がっている。オタワ・カールトン地区学校評議会連合会(Ottawa Carleton Assembly of School Councils)のEllen Dicksonさんは、オタワ・シチズン紙に対し「タコベル高校に行きたい人など1人もいない」と語る。

 また、保護者団体「People for Education」のAnnie Kidderさんは「住んでいる場所や両親の収入に関わらず、すべての子どもに平等な成功の機会が与えられる公教育の重要性は、ウォルマート公立学校ができた瞬間に忘れ去られる」として、教育委員会の計画に異を唱えている。(c)AFP