【6月22日 AFP】米国の親は、たとえ自宅で開いたパーティであっても、自分の監督下で未成年の子どもが酒を飲んだ場合、罰金と懲役に処されるおそれがある。

■息子に飲ませて懲役2年

 今月初めバージニア(Virginia)州で、自宅で息子の16歳の誕生日パーティーを開き、隠れて飲むよりはとビールを飲ませた夫婦が、21歳未満の飲酒を禁じた法律に違反したとして懲役2年の判決を受けた。

 全米の多くの州では、未成年の客にアルコール飲料を提供した成人は、実際には飲ませなかったとしても、未成年の客1人につき最高で1000ドル(約12万円)の罰金が科せられる可能性がある。

 5月から6月にかけては卒業シーズンだが、ワシントンD.C.周辺では10代の子どもたちの卒業祝いを自宅で開こうとする親は年々減り、学校やレンタルホールを会場とする傾向が強くなっている。

■自宅で卒業パーティー、親は徹夜の監視

 ワシントンD.C.郊外、メリーランド(Maryland)州ベセスダ(Bethesda)で最近、子どもたちのために高校卒業パーティーを開いたあるフランス人の母親は、「もし60人のティーンエイジャーを招くのなら、目を皿のようにして注意を怠らない方がいい」と忠告。

 この母親によると、警官が高校に来て親が従うべき規則を通達していったという。「自宅で子どもたちのためにパーティーを開くつもりだと話したら、私の頭がおかしいのではないかというような目でわたしを見た」

 この母親は弁護士の助言を得て、十数人の保護者を徹夜の監視役に任命。「すべてのバッグを調べ、それをもう1度繰り返した。自宅からの出入りを禁じた。会場になった家の周辺を巡回して監視する人もいた。門に自転車用の鍵をかけた」と話すのは、この「監視活動」に朝4時まで参加したある父親。パーティ開催中とその翌朝、茂みに隠された酒のボトルを合計8本見つけ「やってよかった」と話す。

 パーティーを主催した母親は「法律を破るのがゲームになった」という。

■米国の飲酒最低年齢は21歳、ヨーロッパの未成年は米国以上の飲酒率

 米国では自動車運転免許は16歳から取得でき、18歳で軍の入隊資格と投票権が与えられる。しかし国民の80%は飲酒および酒類を購入できる最低年齢を18歳まで引き下げることに反対している。21歳未満の飲酒を認める州には連邦政府予算を支出しないことを認める「National Minimum Drinking Age Act」が成立した1984年以降、米国の飲酒最低年齢は21歳となっている。

 米国立アルコール乱用・依存症研究所(National Institute on Alcohol Abuse and AlcoholismNIAAA)の調べによると、米国では毎年飲酒により5000人前後の未成年が死亡している。うち交通事故の犠牲者は約1900人、殺人事件の被害者は約1600人に上る。

 司法省が2003年に行った調査によると、欧州のほぼすべての国の15歳から16歳の若者で過去30日間に飲酒した割合は、アメリカを上回っている。特にデンマークとドイツ、英国、オランダが多かった。

 他の調査では、12歳から20歳までの米国人の7.7%がアルコールに依存しており、高校卒業者の47%が時々酒を飲むと認めた。(c)AFP/Virginie Montet