【6月16日 AFP】イスラム教の市民団体「米イスラム関係評議会(Council on American Islamic RelationsCAIR)」は14日、米国における対イスラム教徒の差別に関する最新版の報告書をまとめ、差別に対する苦情件数が2005-6年で25%増加していることを明らかにした。

 報告書によると、差別による暴力、偏見、および嫌がらせに関する苦情件数は2467件。その中でも市民権や帰化申請の手続きの遅れなど、政府省庁が関与する苦情が増加しているという。

 あるイスラム教徒は2002年に市民権取得試験に合格したが、5年待って最近ようやく市民権が与えられたという。CAIRは今週、この人物の代理人として訴訟を起こす構えだった。

 またCAIRによると、2005年のイスラム教徒に対する憎悪犯罪は167件を数え、9.2%上昇。

 CAIRの法務部長で偏見に関する研究著者のArsalan Iftikhar氏は、国内のイスラム社会は2001年9月11日の米同時多発テロ事件以降、同国におけるマイノリティーの歴史と同様の経験をしたが、これは米国市民権をめぐる新たな問題の始まりだと見なされているとの見解を示し、「この報告書の結果は、米国では今も差別問題が大きな課題であることを示している」と強調した。(c)AFP