【5月25日 AFP】摩天楼が建ち並ぶパリのビジネス街に24日、ブドウ園が開園した。3年後の収穫を目指す。

 このブドウ園はパリ西部・ラ・デファンス(La Defense)地区の高層ビル街に、近郊の農場から肥沃な土を運び入れて作られた。広さ1000平方メートルの農園に、ピノ・ノワール種(Pinot Noir)とシャルドネ種(Chardonnay)の苗木各350本が植えられた。

 ブドウ園は、周囲の丘の名にちなんでクロ・ド・シャントコック(Clos de Chantecoq)と名付けられた。欧州最大のビジネス街ともいわれる同地区の再開発プロジェクトの一環でもある。有機栽培で、最初の収穫を2010年、生産目標をワイン400本に設定している。

 ブドウ園の開園について、プロジェクトを立ち上げたデファンス地区開発公社(EPAD)は、「かつてパリ近郊で栄えたブドウ栽培という伝統に敬意を表するため」としている。

 パリ近郊は以前、フランス有数のワイン生産地だった。しかし都市化が進み、フランス全土のワイン産業が大きな害虫の被害を受けた19世紀末までに、この地域のブドウ園は激減した。

 現在、パリには約130のブドウ園があり、年間3万5000本から4万本のワインを生産している。最も有名なのは、サクレクール寺院(Sacre Coeur basilica)付近のモンマルトル(Montmartre)の丘に沿って広がる、100年の歴史を持つブドウ園だ。この農園では毎年1500本のワインが生産され、年に一度のワイン祭で1本35ユーロ(約5700円)で販売されている。