【東京 18日 AFP】2006年度、「過労自殺」で労災認定を受けた人が66人(うち1人は未遂)と過去最多になったことが16日、厚生労働省のまとめで分かった。

 また、精神障害で労災が認められた人は205人、過労による脳出血や心筋梗塞(こうそく)などで労災認定された人は355人と、いずれも過去最多を記録した。過労死への労災請求件数も938件と過去最多だった。

 過労による脳出血や心筋梗塞(こうそく)などで労災認定された355人のうち、年齢別で最も多かったのは50歳代で、141人にのぼった。また、精神障害で労災が認められた人では、30歳代が前年比31%増の83人に急増し、全体の4割を占める突出ぶりを示した。

 職種別では、運送業に従事する人が最も多く、労災の全認定者の27%を占めた。

 政府は、過労死を減らす取り組みとして、在宅勤務、育児休暇や介護休暇の取得を奨励している。だが、戦後最長の景気拡大が続く中、パートタイマーの数が増え続けていることが「過労死増加」の背景にあると識者らは指摘する。企業内で正社員が相対的に減ることにより、特に若年層の正社員への作業負荷と精神的負担が増加しているという。

 「過労死110番」で過労死に関する相談にのっている水野幹男弁護士は、「体力のある20-30歳代の労働者は、自分の限界以上にがんばろうとする傾向がある。そしてある日突然、心臓発作などで倒れる。原因は過労以外の何ものでもない」と語った。

 厚労省は、「作業環境は相変わらず厳しい。労働者は多くの要求に応えねばならない一方で、サポート態勢は充分ではなく、過度の精神的プレッシャーに置かれている」とコメントした。

 写真は、東京の繁華街を行き交うビジネスマン(2006年12月1日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO