【モスクワ/ロシア 27日 AFP】伝説的なチェロ奏者で指揮者としても知られるのムスチスラフ・ロストロポービッチ(Mstislav Rostropovich)氏が27日、80歳で死去した。同氏は、旧ソビエト連邦時代には民主化運動の象徴でもあった。

 同氏の広報を担当するNatalya Dolezhalさんによると、ロストロポービッチ氏は、最近、体長を崩し、モスクワ市内の病院で手当を受けていた。

 アゼルバイジャンの首都バクー(Baku)で生まれた同氏は、その後、モスクワ音楽院に進学し、ドミトリ・ショスタコービッチ(Dmitry Shostakovich)やセルゲイ・プロコフィエフ(Sergei Prokofiev)などの著名な作曲家に師事した。
 
 旧ソ連下で反体制派を支援したことから当時の政権に睨まれ、1974年に国外退去となったロストロポービッチ氏は、その輝かしい演奏活動人生のほとんどを海外で過ごした。

 2月に肝腫瘍の手術を受けた同氏は、モスクワでの同氏の生誕80周年記念コンサートでも演奏を披露したが、テレビ放映されたその姿はやつれて見えたという。

 ロシア各紙は27日、「同氏の死は、ロシア文化にとって、大きな損失だ」とするウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の談話を報じた。

 写真は、プラハ室内管弦楽団(Chamber Orchesta of Prague)とリハーサルを行う故ロストロポービッチ氏(2004年9月9日撮影)。(c)AFP/Cristina QUICLER