【ブエノスアイレス/アルゼンチン 3日 AFP】タンゴやショッピング、ナイトライフが目玉のアルゼンチンでは、一流の美容整形手術を米国やEU諸国の75%以下の料金で受けられるとあって、こうした評判を聞きつけた人々を中心に、同国への観光客は急増している。

 イタリアから来た28歳の女性は、「ブエノスアイレスで、休暇を満喫し、胸の整形手術も受けるの。ここでは両方とも大してお金はかからないのよ」と語った。

 同国では、2001年に経済が崩壊して以来、為替レートが1ドル1ペソから1ドル3ペソに上昇した。ドル安傾向が続く中でも、ペソに対してはドル高を維持している影響で、国内の外科手術や旅行費用が格安になっているという事情がある。

 例えば、ブエノスアイレスでの豊胸手術のお値段は平均2500ドル(約30万円)。これは、ロサンゼルス、パリ、マドリードで受けた場合の3分の1以下の値段である。「腕の方もいいのです」と、地元のある美容整形医は強調する。「通貨が切り下げられる前に、最先端の医療器具を海外から取り寄せることができたのです」

 スペインから来た22歳の女性は、友人のすすめで、美容整形を受けにやって来た。「値段もスタッフの専門技術も魅力的だったのです」。整形のできばえには大満足だという。

 現地の美容整形医らは、いくつかの手技では欧州よりも進歩していると胸を張った。例えば、もともとはイタリアで開発されたレーザー脂肪吸引術は、アルゼンチンで改良され、今やアルゼンチンのお得意技の1つになっているという。

 美容整形は、アルゼンチンでは決して今に始まったものではない。

 美容整形を受けた地元の女性たちは、よく、どこをどのように変えたいかをおおっぴらに語り合う。「地元の女性達の要望は、とにかく多い。それらに応えるべく切磋琢磨した結果、わが国の美容外科技術は世界のトップレベルにのし上がったのです」と、Ultrasthetics Argentinaのマネージャーは語った。

 アルゼンチンは、人口1人あたりの美容整形手術数では米国、ブラジルに次ぐ第3位である。

 実際、同国は開発途上国ながら、これまでに美容整形の全項目のうち60%の手術が行われた実績がある。ある医師によると、「美容整形を受けるために家を売るという人がたくさんいる」という実態もある。

 美容整形人気にあやかり、美容クリニックが旅行代理店とタイアップするケースが増えてきている。例えばPlenitasクリニックは、2003年以来、しわ取り手術や豊胸手術の後でパタゴニアやイグアスの滝を観光できるというような旅行プランを販売している。こうしたプランは好評で、同クリニックによると、「海外からの顧客の約40%がこうしたプランで当クリニックを訪れる」とのこと。

 他の旅行代理店も、美容整形人気をただ指をくわえて眺めているわけではない。地元の大手旅行代理店Tangolは、かつてマラドーナが活躍したブエノスアイレスのボカ・ジュニアーズの試合観戦やタンゴの体験レッスンなどとともに、「フェースリフト(顔のしわ取り)」もできますよ!というプランを絶賛発売中である。

 写真は、ブエノスアイレスで5日、光線療法を行っている皮膚科医。(c)AFP/DANIEL GARCIA