【クアラルンプール/マレーシア 20日 AFP】世界中の高層ビルを登り、「スパイダーマン(Spiderman)」の異名を持つフランス人、アラン・ロベール(Alain Robert、44)さんが20日、命綱などの安全器具などを一切使わずにクアラルンプール(Kuala Lumpur)のペトロナス・ツイン・タワー(Petronas Twin Towers)への「登頂」を試みたが、頂上まで残すところ3分の1という時点で「御用」となった。

 88階建てのペトロナス・ツイン・タワーは、2003年まで世界一の高さを誇っていた超高層ビル。ロベールさんは60階に到達したところで、待ち構えていた消防隊員によって拘束された。

 消防局報道担当者は「ビルを登るロベール氏に対し、あきらめてビル内に戻るよう呼びかけたところ、“オーケー”と言って、持っていたマレーシア国旗をこちらに向けて振った。その後、窓から救出した」と報道陣に語った。

 実はロベール氏、ちょうど10年前にもペトロナス・ツイン・タワーへの登頂を試みたが、同じ階で御用となっている。そのため消防隊員も、彼の「スタント」への対処方法は心得たものだ。

 警察当局によれば、ロベール氏はクアラルンプールの警察署に少なくとも一晩拘置され、取り調べを受けるという。AFPの取材に対し担当者は「タワー登頂許可を得ていないようであれば、不法侵入罪に問うことになる。本人は、ビルに登ってみたかっただけだと主張している。とにかく“登りたかったから”を繰り返すばかりだ」と語った。

 有罪が確定した場合、罰金2000リンギット(約6万7000円)と最長1年の禁固刑のいずれか、もしくは両方が科せられる。

 逮捕時には、少なくとも20人の警官と消防車ならびに消防隊員約15人が現場に急行。ペトロナス・ツイン・タワー前の道路は、ロベール氏の登頂を一目見ようと500人もの見物客が集まった。 

 マレーシアを公式訪問中だったフランスのクリスチャン・ポンスレ(Christian Poncelet)上院議長も、ロベール氏の登頂を目撃。「人は誰でも、他人と違うことをやって目立ちたいと思うものだが、彼の場合は変わってるな。危険すぎる」とコメントした。

「スパイダーマン」の過去の登頂成功例は、パリのエッフェル搭(Eiffel Tower)、サンフランシスコの金門橋(Golden Gate Bridge)など。

 写真は同日、ペトロナス・ツイン・タワーへの登頂を試みるロベール氏。(c)AFP/TENGKU BAHAR