女子大生、今なお残る「誘拐婚」の風習の犠牲者に - キルギスタン
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【Naryn/キルギスタン 9日 AFP】2006年9月のその日、Naryn市在住の女子大学生Oksanaさん(21)は、突然の悲劇に見舞われた。車に乗ってやってきた酔った若者たちに車の後部座席へ押し込まれ、白昼堂々と誘拐されてしまったのだ。
キルギスタンには、気に入った女性を誘拐して妻にしてしまうという「誘拐婚」の古い風習が今もなお残っている。Oksanaさんも、その風習の犠牲者の1人となったのだ。
まだ幼さが残る顔立ちのOksanaさんは、当時を振り返ってこう語った。
「私を誘拐した男たちが酒を飲んだり話したりしている間、私は後部座席に座っていました。どの男が自分の夫になるのかさえ分かりませんでした」
誘拐犯の自宅に連れて行かれたOksanaさんは、その後、犯人の母親と祖母から結婚するようにと、3日間説得され続けた。
その3日間で彼女の運命は決まってしまった。
Oksanaさんは結婚を拒み、泣きながら逃がしてくれるよう頼んだが、3日後、彼女は「jooluk」と呼ばれるショールを与えられた。キルギスタンでは、このショールを身につけた女性は婚約者がいることを意味する。
たとえ結婚を拒んだとしても、この地方の習わしでは、未来の夫の家で3日間過ごした場合、その女性はすでに「汚された」と見なされ、実家に戻ることはできない。
「母が来た時には、もう手遅れでした。母には『お前はここにいなさい。家に戻ってきたら家族の恥になるから』と言われました」とOksanaさんは語った。
当時、Oksanaさんにできたのはせいぜい、「夫になる男が善良で優しい人であるように」と望むことぐらいだった。
キルギスタンはアジア中央部に位置する貧国で、人口520万人。女性をさらって無理やり結婚するという風習は、この国全土に残っているという。地元の非政府組織の調査結果によると、東部の山岳地帯の辺境地帯にあるNaryn市では、結婚の60%から80%が誘拐によるものだという。
一方、国連当局は、国連(UN)が「国際女性デー」と定める8日、女性に対する暴力の根絶を世界中に呼びかけた。
写真は、誘拐婚の犠牲となった女性たち(2007年3月6日撮影)。(c)AFP