【ベルリン/ドイツ 28日 AFP】灰色の雲に覆われ太陽が数か月間姿を現さない冬の間、ドイツで日焼けサロンに通う人は人口の5分の1にあたる1600万人に上る。欧州一の人気を誇るが、中には小麦色にまで肌を焼く人もおり、医師らは紫外線を必要以上に浴びることで皮膚がんのリスクも高まると警告している。

■ 日焼けサロンは続々オープン

 ドイツでは目立つ外観の日焼けサロンが、どの町でも見られる。「休暇先の肌を、そのままに」と宣伝文句を掲げるサンプラネット(Sunplanet)社を始め、(Solarent)、(Mega Sun)、(Tropic Sun)、(Sunpoint)などの日焼けチェーンは続々と店舗をオープンしている。

 皮膚がんについての情報提供を行う研究団体ADPによると、日焼けサロンはドイツ全体で1万2000店、マシンの数は9万にのぼる。

■ 「健康的に見せたい」が一番の理由

 日焼けサロンの過剰利用は生死にかかわる問題だが、皮肉にもサロンの利用目的として健康的に見せたいからと言う人が多い。(Stuttgart Media University)が900人の男女を対象に実施した調査で、日焼けサロンに通う理由は「例え人工的なものであっても日光を浴びると『生き生きとする』から」との回答が91.8%を占めた。次に「冬の間血色が悪く見えるのが嫌だから」が続いた。回答者の84.6%は、少し日焼けした肌の方が健康的に見えるとの認識していることが分かった。

■ 政府ががんのリスク警告

 ドイツ政府は、サロン利用者の大半が過剰な日焼けのリスクに耳を傾けないとの懸念を表明している。前出の調査で、日焼けサロンが皮膚ガンの原因になりうると心配する人は3分の1のみだった。ドイツでは毎年14万4000人が皮膚がんにかかり、そのうち最も深刻な「メラノーマ」(悪性黒色腫)が2万人を占める。環境省によると発症者数は増加傾向にある。

写真は、ハンブルク(Hamburg)で日焼けサロンを利用する女性(2003年2月6日撮影)。(c)AFP/DDP/JOERN POLLEX