【オックスフォード/英国 21日 AFP】インド人女優シルパ・シェティ(Shilpa Shetty)がチャンネル・4(Channel 4)のリアリティ番組「Celebrity Big Brother」で人種差別を受けたとされる問題で、番組中、差別発言を行ったとされるたジェイド・グッディ(Jade Goody)が、大衆日曜紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」のインタビューに答えた。

 この番組は、英民放送局チャンネル4が制作する超人気番組で、有名人らを数週間にわたり隔離した部屋で共同生活させ、その一部始終を連日放映する番組。視聴者からの電話による投票で、一番不人気な参加者が1人づつ、定期的に脱落していく方法で進行する。番組の人気は英国内に留まらず、ヨーロッパで人気をはくしているため、その影響力絶大だ。

■インドでは、番組プロデューサーの肖像が燃やされ激しい抗議活動が

 インタビューで、グッディは涙ながらにシェティに対する差別発言を認めた。「気づかないうちに人種差別をしてしまった。すべては無知だった自分の責任。これでタレント活動が終わってしまっても、すべては自分のせい」と国際的な騒動に発展した差別発言に深い反省の色を示した。

 グッディが非を認めたいま、非難の的は番組制作者側に移りつつある。

 ケン・リビングストン(Ken Livingstone)ロンドン市長は英国放送協会(BBC)の番組に出演し、「実際編集は番組制作者が行ったわけだし、民族主義を煽ったのは事実だ。彼らはきっと、民族主義を金稼ぎに利用したのだろう」と非難を展開した。

 「差別禁止と人権に関する委員会(Commission for Equality and Human Rights)」のTrevor Phillips会長も、ニューズ・オブ・ザ・ワールドの取材に対して、「チャンネル4の重役たちは、これがただの口論で、民族主義的な要素はないと言い続けるつもりなのだろうか。彼らはいまだに事実を認めようとしない」と糾弾した。

 人気集めのためか、議員らもこぞって非難を展開する中、チャンネル4の幹部らは21日にも緊急会議を開く。
 チャンネル4のアンディ・ダンカン(Andy Duncan)社長は、グディらの発言の差別的要素を否定した上で、「こういった議論のきっかけになるのは、間違いなくいいことだ」と主張した。

 この放送をきっかけにインドでは、番組プロデューサーの肖像が燃やされるなど、激しい抗議活動が行われた。

■視聴率は過去最高となったか、チャンネル4の損出も拡大

 なお、現在勝ち残っている番組参加者は、24時間体制の厳しい管理下に置かれているため、外で起きている騒動については何も知らない。ミス英国のDanielle Lloyd、往年のポップスターJo O’Meara、グッディらの参加者は、シェティに対して集団でいじめを行ったとされている。
 
 同番組は1月初旬にスタートし、最終回は優勝者が決まる1月28日を予定。騒動による苦情は4万件に達し、これを受けて警察も捜査に乗り出した。

 視聴者数は19日現在で880万人に達し、平均視聴者数は780万人。2006年の最高視聴率を僅かに上回っている。その一方で、スポンサー企業の携帯電話会社カーフォン・ウェアハウス(Carphone Warehouse)は18日、騒動を受けて数百万ポンドの番組提供の停止を決めている。

 チャンネル4にとって、悪評はもろ刃の剣であることが証明された形だ。チャンネル4は、事態の沈静化を図るため、19日の電話投票で得た収益(50ペンスの通話につき10ペンス)を寄付する方針を発表。寄付金総額は1月28日の最終回で発表される。

 写真はオックスフォードで18日、テレビ・チャンネル、スカイニューズ(Sky News)に出演したダンカン社長(右)。(c)AFP/SKY NEWS