パブでの禁煙法導入に備え「嗅ぎタバコ」人気が復活 - 英国
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![パブでの禁煙法導入に備え「嗅ぎタバコ」人気が復活 - 英国](https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/810wm/img_af3b657dee7cafa742be765cfdf274ba116494.jpg)
【ロンドン/英国 16日 AFP】ロンドンのパブで「嗅ぎタバコ」を楽しむ人々が増えている。夕刊紙イブニング・スタンダード(the Evening Standard)が報じている。
「嗅ぎタバコ」は、粉末状のタバコの葉を鼻で吸い込んで楽しむもので、19世紀の貴族社会で流行、また、火気厳禁の炭坑で働く炭坑作業員の間でも人気があった。その後、最近はすっかりすたれていた「嗅ぎタバコ」が奇跡のカムバックを果たした形だ。
■ 公共の場での禁煙
イングランド(England)では、公共の場での室内喫煙を全面的に禁止する法律が7月1日に施行される。「嗅ぎタバコ」メーカーの報告では、これを前に「嗅ぎタバコ」の売上げが上がり続けているという。
コベントガーデン(Covent Garden)のブティック街で葉巻サロン「シガー・アンド・スナッフ(the Segar and Snuff)」を経営するイアン・ライト(Ian Wright)さんは、「20世紀は『嗅ぎタバコ』の全盛期だった。お洒落でクールで官能的な『嗅ぎタバコ』は、値段も手頃で社交の場にはうってつけだった」とイブニング・スタンダード紙に語る。「だが、今や喫煙者たちは社会からのけ者扱いだ」
ライトさんによると、「嗅ぎタバコ」にはある種の「退廃的洗練」という魅力があるという。「タバコ喫煙者に『嗅ぎタバコも試してごらんよ』と誘っている「嗅ぎタバコ」愛用者も多いのでは。パブでの禁煙法が導入を前に、『嗅ぎタバコ』の売上げが急増したのはそのせいだろう」
■ 顧客が定着
イブニング・スタンダード紙にによると、試みとして「嗅ぎタバコ」の販売を始めるパブも現れた。ロンドン東部ハガーストン(Haggerston)のパブ「アルビオン(The Albion)」の店主、デイブ・チャップマン(Dave Chapman)さんは「以前、『嗅ぎタバコ』は店に置かなかったが、今では固定客もいる」と語る。
「1缶2~2.5ポンド(約470~590円)の『嗅ぎタバコ』で、約一か月間は楽しめる。20本入り1箱が5.5ポンド(1300約円)もするタバコよりずっと経済的だ。禁煙法が施行される頃には、パブでは皆『嗅ぎタバコ』を思う存分楽しんでいるだろう」
■ 上流階級の嗜みから炭坑作業員の嗜みに
かつて英国での「嗅ぎタバコ」愛用者は、炭坑作業員か上流階級の人々に限られていた。しかし、1980年代、炭坑産業の衰退とともに「嗅ぎタバコ」市場も消え去った。
しかし、その記憶は、サッカーのクラブチームの応援歌に残されている。かつて炭坑産業で栄えた北部ヨークシャー(Yorkshire)、シェフィールド(Sheffield)のプレミアリーグクラブチーム、シェフィールド・ユナイテッド(Sheffield United)のサポーターは、米国の歌手ジョン・デンバー(John Denver)の「緑の風のアニー(Annie's Song)」のメロディーに乗せて歌う。
「『マグネット(Magnet)』ビールのように、
ウッドバイン(Woodbines)のタバコのように、
上等の嗅ぎたばこのように」
一方、英国議会下院(House of Commons)では18世紀からの慣例として、議場の入り口で「嗅ぎタバコ」を配布する習慣がある。(「嗅ぎタバコ」代は税金から支払われている。)しかし、実際に「嗅ぎタバコ」を議場で楽しむ議員はほとんどいない。議場での喫煙は1693年に禁止されている。
イングランドに先駆けスコットランド(Scotland)では、2006年3月に既に公共の場の屋内禁煙法が導入されている。また、ウェールズ(Wales)、北アイルランド(Northern Ireland)も、それぞれ4月2日、30日に同法の適用が決まっている。「禁煙法」の施行により、イングランドやウェールズのパブは、2005年11月に夜間11時以降の酒類販売が認められて以来の大変革を経験することになる。(c)AFP
≫関連記事:禁煙法導入を前に抵抗を図る水タバコ業界
「嗅ぎタバコ」は、粉末状のタバコの葉を鼻で吸い込んで楽しむもので、19世紀の貴族社会で流行、また、火気厳禁の炭坑で働く炭坑作業員の間でも人気があった。その後、最近はすっかりすたれていた「嗅ぎタバコ」が奇跡のカムバックを果たした形だ。
■ 公共の場での禁煙
イングランド(England)では、公共の場での室内喫煙を全面的に禁止する法律が7月1日に施行される。「嗅ぎタバコ」メーカーの報告では、これを前に「嗅ぎタバコ」の売上げが上がり続けているという。
コベントガーデン(Covent Garden)のブティック街で葉巻サロン「シガー・アンド・スナッフ(the Segar and Snuff)」を経営するイアン・ライト(Ian Wright)さんは、「20世紀は『嗅ぎタバコ』の全盛期だった。お洒落でクールで官能的な『嗅ぎタバコ』は、値段も手頃で社交の場にはうってつけだった」とイブニング・スタンダード紙に語る。「だが、今や喫煙者たちは社会からのけ者扱いだ」
ライトさんによると、「嗅ぎタバコ」にはある種の「退廃的洗練」という魅力があるという。「タバコ喫煙者に『嗅ぎタバコも試してごらんよ』と誘っている「嗅ぎタバコ」愛用者も多いのでは。パブでの禁煙法が導入を前に、『嗅ぎタバコ』の売上げが急増したのはそのせいだろう」
■ 顧客が定着
イブニング・スタンダード紙にによると、試みとして「嗅ぎタバコ」の販売を始めるパブも現れた。ロンドン東部ハガーストン(Haggerston)のパブ「アルビオン(The Albion)」の店主、デイブ・チャップマン(Dave Chapman)さんは「以前、『嗅ぎタバコ』は店に置かなかったが、今では固定客もいる」と語る。
「1缶2~2.5ポンド(約470~590円)の『嗅ぎタバコ』で、約一か月間は楽しめる。20本入り1箱が5.5ポンド(1300約円)もするタバコよりずっと経済的だ。禁煙法が施行される頃には、パブでは皆『嗅ぎタバコ』を思う存分楽しんでいるだろう」
■ 上流階級の嗜みから炭坑作業員の嗜みに
かつて英国での「嗅ぎタバコ」愛用者は、炭坑作業員か上流階級の人々に限られていた。しかし、1980年代、炭坑産業の衰退とともに「嗅ぎタバコ」市場も消え去った。
しかし、その記憶は、サッカーのクラブチームの応援歌に残されている。かつて炭坑産業で栄えた北部ヨークシャー(Yorkshire)、シェフィールド(Sheffield)のプレミアリーグクラブチーム、シェフィールド・ユナイテッド(Sheffield United)のサポーターは、米国の歌手ジョン・デンバー(John Denver)の「緑の風のアニー(Annie's Song)」のメロディーに乗せて歌う。
「『マグネット(Magnet)』ビールのように、
ウッドバイン(Woodbines)のタバコのように、
上等の嗅ぎたばこのように」
一方、英国議会下院(House of Commons)では18世紀からの慣例として、議場の入り口で「嗅ぎタバコ」を配布する習慣がある。(「嗅ぎタバコ」代は税金から支払われている。)しかし、実際に「嗅ぎタバコ」を議場で楽しむ議員はほとんどいない。議場での喫煙は1693年に禁止されている。
イングランドに先駆けスコットランド(Scotland)では、2006年3月に既に公共の場の屋内禁煙法が導入されている。また、ウェールズ(Wales)、北アイルランド(Northern Ireland)も、それぞれ4月2日、30日に同法の適用が決まっている。「禁煙法」の施行により、イングランドやウェールズのパブは、2005年11月に夜間11時以降の酒類販売が認められて以来の大変革を経験することになる。(c)AFP
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