【9月10日 AFP】中国で両目の眼球をくりぬかれ視力を失った6歳の男児が10日、本物の眼球のように動く義眼をはめるための最初の手術を受けた。

 医師たちは、グオ・ビン(Guo Bin)君が近いうちに、眼鏡に搭載したカメラからの画像を、額または舌に取り付けるセンサーで電気信号に変換し、物の形や動きを認識できるようになると期待している。

 香港を拠点にする眼の専門家、デニス・ラム(Dennis Lam)氏は、中国南部・深セン(Shenzhen)市にある同氏の医療施設で、グオ・ビン君への無償治療を行っている。

 治療はまずグオ・ビン君に義眼を装着し、その上でグオ・ビン君の行動を助けるためのセンサーを装着する。

 10日には人工の眼球を装着するための手術が行われ、3~4時間ほどで終わった。デニス・ラム眼科病院の広報担当者はグオ・ビン君に提供される義眼は「目の部分に(自然の)ボリュームを与えるような人工の眼球で、そうしなければ陥没してしまう」と説明した。

 もし人工眼球を支えるための細胞組織が不足しているようだったら、臀部(でんぶ)から皮膚と脂肪を移植する予定だ。それからおよそ1か月の回復期間を経て、義眼の装着を行う。

「義眼」は細胞組織や筋肉に定着し、通常の眼の動きをするようになるという。

 だが「視覚」、あるいは行動はセンサー機器に頼ることになる。これらの技術は日本や欧州ではすでに使われている。

 ラム氏は、「生体工学的な眼(バイオニック・アイ)」を用いることで少年がいつか視覚を部分的に回復する可能性もあると期待を寄せている──だが、この技術は少なくともあと5~10年は実用化されないだろうと付け加えた。(c)AFP