【6月27日 AFP】国連薬物犯罪事務所(United Nations Office on Drugs and CrimeUNODC)が26日発表した2013年版「世界薬物報告書(World Drug Report)」によると、「リーガルハイ(合法の高揚感)」などとうたわれ、「デザイナードラッグ(類似麻薬)」の名称でも知られる新型の合成薬物が急速かつ大量に出回るようになり、当局は実態の把握に苦慮しているという。

 報告書によれば、こうした脱法ドラッグは専門的には新精神作用物質(new psychoactive substancesNPS)と呼ばれ、スパイスやバスソルト、ハーバルインセンスといった当たり障りのない商品名で販売されていることが多い。NPSは違法ではないが深刻な健康上のリスクを引き起こす恐れがある。「インターネットなどを通じて堂々と販売されているが、NPSは安全性が確認されておらず、従来のドラッグよりも危険性がはるかに高い可能性がある」と報告書は指摘する。

 NPSの数は2012年時点で、確認されているものだけでも251種となり、09年の166種から急増したという。NPSは合成薬物や植物由来の薬物のため、容易に新たな薬物を作り出すことができる。こうした薬物のめまぐるしい動きに当局の対策が追い付いていないのが現状だという。報告書はまた、NPSは安全だという認識も問題を悪化させており、長期的な影響はまだ確認されていないと述べた。

 NPSは米国では、マリフアナ(大麻)に次いで若者の間で良く使用される薬物だ。欧州では、マリフアナの使用は減少し、他の薬物の使用は横ばい状態にある中、NPSの使用は増加している。(c)AFP