【5月7日 AFP】パキスタンの部族地域、北ワジリスタン(North Waziristan)で、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)が1年前にポリオワクチン接種を禁止して以来初めて、子ども1人のポリオウイルスへの感染が確認された。世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の関係者が6日、AFPに明らかにした。

 北ワジリスタンはタリバンと国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と関連のある武装勢力の拠点。一帯の部族は、ワクチン接種キャンペーンの裏でスパイ行為が行われていると主張するタリバンのワクチン接種禁止を支持し、全国規模で当局が進めていたワクチン接種を阻止した経緯がある。ポリオウイルスは感染力が強く、感染すれば手足がまひする。

 パキスタンにおけるWHOポリオ撲滅計画の調整官、エリアス・デューリー(Elias Durry)氏は「2012年6月にわれわれが立ち入りを拒否された北ワジリスタンで新たな感染が確認された」と話した。

 地元住民、とりわけ保守的で教育が不足している北西部の人々の間では、ワクチン接種はイスラム教徒の数を減らすための企てではないかとの疑念があり、長年にわたり、感染力の強いポリオの撲滅運動の妨げとなっている。

 世界で今もポリオが風土病として残っているのはパキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの3国。05年に28件だった感染件数は急増し、12年には約200件に達した。(c)AFP