【5月2日 AFP】エイズウイルス(HIV)に感染した子どもの治療においては、現在広く使用されており価格が低めのネビラピン(nevirapine)よりも、エファビレンツ(efavirenz)の方が高い効果が得られることを示した研究論文が、4月30日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に掲載された。

 論文によると、800人超の子どもを対象とした研究により、3~16歳の感染児の初期治療で、ネビラピンよりもエファビレンツの方が高いHIV抑制効果があることが分かった。

 この研究は、HIV感染児を対象とした第一線の治療について行われた初の大規模な比較研究とされており、HIV感染児のほとんどを抱える貧困地域での治療に影響を与える可能性がある。

 世界に300万人以上いるHIV感染児の90%を抱えるサハラ以南アフリカなどの貧困地域では、エファビレンツとネビラピンの両方が世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によって推奨されている。

 研究を行ったのは、米フィラデルフィア小児病院(Children's Hospital of Philadelphia)、米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)ペレルマン医学大学院(Perelman School of Medicine)、ボツワナ・ベイラー小児臨床センター(Botswana-Baylor Children's Clinical Center of Excellence)の研究者ら。

 論文の主執筆者で、フィラデルフィア小児病院のエリザベス・ローウェンタール(Elizabeth Lowenthal)氏によると、「ネビラピンはエファビレンツより値段が安く、小児向けの薬剤として広く出回っており、選択されることが多い」。「しかし、われわれの研究ではエファビレンツのほうが良い結果をもたらした」

 研究で得られた証拠からみて「小児向け治療ガイドラインの改訂は極めて妥当」と話すのはペンシルベニア大医学大学院のロバート・グロス(Robert Gross)氏。だが一方で、資金が限られた抗レトロウイルス治療において、エファビレンツをより現実的な選択肢にするための、コスト面での努力が必要だとも述べている。(c)AFP