【4月19日 AFP】スウェーデン・ストックホルム(Stockholm)の公的医療機関、摂食障害治療センターのアンナマリア・サンドベリ(Anna-Maria af Sandeberg)所長は18日、モデルエージェンシーのスカウトが同センターの女性患者に対し、モデルにならないかと持ちかけていたことを明らかにした。

 サンドベリ所長はスウェーデン通信(TT)に対し、スカウトらは施設の外で、患者の女性たちが散歩に出かけるのを待っていたと説明、「不謹慎なヘッドハンターたちは、患者たちの一日の行動を詳しく知っており、モデル探しにおいては手段を選ばない」と批判した。「声をかけられた1人は、痩せ過ぎで車いすに乗っている」という。ただし所長は、エージェンシーの名は明らかにしなかった。

 この一件があったのは数か月前で、声を掛けられた女性たちはその後、治療のスケジュールを変更した。同センターはスウェーデン国内の同様の施設では最大規模で、入院・外来患者を合わせて現在、約1200人が治療を受けている。患者の大半は若い女性だが、少年や成人の患者もいる。

 ストックホルムにあるモデルエージェンシー、エリート・モデル・マネジメント(Elite Model Management)の取締役、フレド・カゼミ(Fredo Kazemi)氏はこうしたスカウトの方法について、「胸が悪くなるような、非倫理的な方法」だと非難した。同氏はTTに対し、「真摯に仕事に取り組んでいる大規模なエージェンシーは、このようなやり方はしないと思う」と述べた。

 ファッション業界は極端な痩せ方を奨励したり、摂食障害のモデルを使ったりしていることで批判を受けている。イスラエルは今年初め、体格指数(body-mass indexBMI)が18.5未満のモデルを写真撮影や宣伝活動に使うことを禁止したが、その他の国々はこれまでのところ、拘束力を持たない業界の行動規範を定めるに留まっている。(c)AFP