「バイオ腎臓」、ラットへの移植に成功 米研究
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【4月15日 AFP】生物工学で腎臓を作り、ラットに移植することに成功したとの研究論文が、14日の英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に掲載された。研究チームは、この試作品により「バイオ腎臓」が機能することが証明されたと述べている。
実験ではまず、ラットの腎臓を摘出し、洗浄剤で生体細胞を除去してコラーゲンでできた「骨組み構造」だけが残るようにし、そしてこの構造に、人間の腎臓内の血管壁にある内皮細胞と、新生児ラットから採取した腎細胞を付着させた。その際に重要なポイントは、尿管をチューブとして使い、これらの細胞を腎臓の正しい部位に「植え付ける」ことだった。
研究チームはこのようにして作成した腎臓を、腎臓を除去した生きたラットに移植した。新しい腎臓は血流が再開するとすぐに、血液をろ過して尿を生成し、尿管に送り始めた。出血や血栓などの兆候は見られなかったという。
研究チームは、腎機能を向上させるには細胞の種類を精選してさらなる実験を行う必要があり、人間への臨床試験に進むには多くの難題を乗り越えなければならないと注記している。実験の第1段階をテストするため、ブタと人間の腎臓から細胞を除去する手順までは行っているが、現時点でそれ以上は進めていないという。
米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)再生医療センター(Center for Regenerative Medicine)のハラルド・オットー(Harald Ott)氏は、この研究について、透析療法に生活を阻害されている大勢の腎機能障害患者を助けることが目標だという。「この技術を人間サイズの移植にまで適用できれば、腎不全を患い、現在ドナー(臓器提供者)の腎臓を待っている患者や移植候補になっていない患者でも、自分自身の細胞から作成した新しい腎臓を入手することが理論上は可能になるだろう」と述べ、免疫系による拒絶反応を回避することもできるとした。(c)AFP
実験ではまず、ラットの腎臓を摘出し、洗浄剤で生体細胞を除去してコラーゲンでできた「骨組み構造」だけが残るようにし、そしてこの構造に、人間の腎臓内の血管壁にある内皮細胞と、新生児ラットから採取した腎細胞を付着させた。その際に重要なポイントは、尿管をチューブとして使い、これらの細胞を腎臓の正しい部位に「植え付ける」ことだった。
研究チームはこのようにして作成した腎臓を、腎臓を除去した生きたラットに移植した。新しい腎臓は血流が再開するとすぐに、血液をろ過して尿を生成し、尿管に送り始めた。出血や血栓などの兆候は見られなかったという。
研究チームは、腎機能を向上させるには細胞の種類を精選してさらなる実験を行う必要があり、人間への臨床試験に進むには多くの難題を乗り越えなければならないと注記している。実験の第1段階をテストするため、ブタと人間の腎臓から細胞を除去する手順までは行っているが、現時点でそれ以上は進めていないという。
米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)再生医療センター(Center for Regenerative Medicine)のハラルド・オットー(Harald Ott)氏は、この研究について、透析療法に生活を阻害されている大勢の腎機能障害患者を助けることが目標だという。「この技術を人間サイズの移植にまで適用できれば、腎不全を患い、現在ドナー(臓器提供者)の腎臓を待っている患者や移植候補になっていない患者でも、自分自身の細胞から作成した新しい腎臓を入手することが理論上は可能になるだろう」と述べ、免疫系による拒絶反応を回避することもできるとした。(c)AFP