【4月1日 AFP】世界銀行(World Bank)グループの貧困削減・経済管理総局(Poverty Reduction and Economic ManagementPREM)が3月28日に明らかにしたところによると、世界全体でみた食品価格は6か月前にピークに達し、その後は下落傾向が続いている。しかし、記録的な高水準にあることに変わりはなく、各地の貧困層を「低栄養」と肥満に向かわせているという。

 PREMのオタビアーノ・カヌート(Otaviano Canuto)副総裁によると、例えば先進国のジャンクフードなどのように不健康な食品は健康的な食品よりも安価になる傾向あり、さらに多少の可処分所得がある発展途上国の貧困層の人たちは、カロリーは高いが栄養価が低い安価な食品を選ぶ傾向があるためだ。

■食品価格は今や「高水準」が「標準」

 昨年10月から今年2月の間に、世界の食品価格は4%下落した。小麦と砂糖の価格がそれぞれ11%、10%下落したことが一因だ。小麦のほか、エタノール原料としてのトウモロコシの需要が減少したこと、それぞれの作況が改善したことも寄与した。ただし、それでも同8月に記録した歴史的な高水準からわずか9%低下したにすぎない。

 また、今年2月だけをみると、食品価格は世界全体で前年比1%の上昇となった。中でも値上がりが目立ったのは、いずれも発展途上国で主食とされているコメとトウモロコシで、それぞれ5%高くなった。

 世銀はまた、世界の食糧供給における「不確実性」にも懸念を示している。

 世界の穀物在庫は昨年、3%減少した。主に小麦と雑穀の供給量が減ったことが原因だ。さらにアルゼンチンやオーストラリア、南アフリカといった生産国で乾燥した天候が続いていることから、今後数か月は回復が見込めない状況といえる。

 PREMは、「高水準で変動が激しいという食品価格の『新たな標準』の中で、今後も数百万人が飢餓、低栄養、肥満といった栄養不足の状況に苦しむことになるだろう。これらはいずれも、短命につながるものだ」と強調している。

■肥満は世界的な問題

 2008年には世界の成人のうち、14億6000万人が過体重で、うち5億800万人が肥満だった。2030年までには過体重が21億6000万人、肥満が11億2000万人に達するとみられている。ただしPREMは、急速に発展を遂げている中国やインドなどでは、この数字は「控えめな推定」だと釘を刺す。

 カヌート副総裁は、「世界の過体重の人の半数がわずか9か国(中国、米国、ドイツ、インド、ロシア、ブラジル、メキシコ、インドネシア、トルコ)に集中している。肥満は豊かな国だけにまん延するものではないことの証明だ」と指摘している。(c)AFP