【2月22日 AFP】米国内で販売されている魚の多くで意図的なラベル偽装が行われており、消費者は知らず知らずのうちに「横行するシーフード詐欺」の被害に遭っているとの報告書が21日、発表された。海洋保護団体オセアナ(OCEANA)の報告によると、米国内で入手したサンプル1215点のうち、3分の1以上がラベル表示とは異なる種類の魚だったという。

 表示と内容が異なっていた例では、マグロとヒメジが最も多かった。また、フエダイとして売られていた120点のうち、本物だったのはわずか7点だった。

 養殖魚が天然物として売られていることも多く、養殖サケが天然サケやキングサーモンと表示されていたほか、ナマズ目の魚カイヤンをハタと偽ったり、ティラピアをフエダイとして販売している場合も少なくなかった。乱獲が問題となっている魚種のラベルを付けて、持続的な漁が可能な代替魚が使われていた例もあった。

 カリフォルニア(California)州南部では不正表示されたシーフードのほうが正規表示のものより多く、52%に上った。また、テキサス(Texas)州のオースティン(Austin)とヒューストン(Houston)では49%、マサチューセッツ(Massachusetts)州ボストン(Boston)では48%、ニューヨーク(New York)州ニューヨーク市では39%の魚が偽装されていたという。

 全米では、調査対象となった小売店の44%で不正表示が確認された。最もひどかったのはすし店で、74%で表示が実際と異なっていた。

 オセアナの科学者で報告書の主執筆者のキンバリー・ワーナー(Kimberly Warner)氏は、「多数の消費者がだまされているだけではなく、健康や生物保護への配慮に基づいた選択をする権利を侵害されている」と指摘している。

 報告書は、食品偽装問題が欧州を揺るがすなかで発表された。欧州では、牛肉と表示されて流通していた数百万の食品で馬肉が使われていたことが発覚し、大きな問題となっている。(c)AFP