【1月23日 AFP】妊娠中に抗てんかん薬「バルプロエート」を使用すると、生まれた子どものIQ(知能指数)に長期的に悪影響を及ぼすことが分かったとする研究が、23日の英医学専門誌「ランセット・ニューロロジー(Lancet Neurology)」に掲載された。以前の調査で、バルプロエート投与が生まれた子どもの認識能力に悪影響を及ぼすことが分かっていた。

 研究は米エモリー大学(Emory University)のキムフォード・メドー(Kimford Meador)氏が1999年10月から2004年2月にかけて実施。バルプロエート、またはカルバマゼピン、ラモトリジン、フェニトインのいずれかの抗てんかん薬を妊娠中に使った女性305人を対象に調査を行った。1回目の調査では米国と英国の子ども311人を調べ、6歳時の2回目の調査では、その中の224人を調べた。

 1回目の調査では、妊娠中にバルプロエートの投与を受けた女性が産んだ子どもたちの3歳時の認識能力が標準よりも低いことが判明。この研究を受け2009年、米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)が調査を実施、妊娠時の同薬使用について警告を出した。

 2回目の調査の結果、妊娠中にバルプロエートを使用した母親の子どもは、妊娠中にそれ以外の3種の抗てんかん薬のいずれかを使った母親の子どもと比べて、IQが7~10ポイント低かった。また、妊娠中のバルプロエート投与量が多いほど、子どものIQ低下幅も大きかった。言語能力と記憶にも影響がみられたという。


 研究チームは、子どもたちのIQが成長とともに今後改善する可能性もあると指摘。また、妊娠中に葉酸をとることで、妊婦のIQの数値が向上する可能性もあると述べた。てんかんのある妊婦についての研究で、改善が示されたのは今回が初めて。(c)AFP