【12月10日 AFP】調理を行う人は伝染病の拡散予防のために手を洗うよう指導されるが、キッチンナイフにも同様の危険性があることが分かったとの研究が、専門誌「Food and Environmental Virology(食品・環境ウイルス学)」に掲載された。

 研究を発表したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)食品安全センター(Center for Food Safety)の研究チーム。

 研究チームは、A型肝炎ウイルスと感染性胃腸炎を起こすノロウイルスに汚染された果物と野菜6種類を、新品のナイフとおろし器を使って調理する実験を行った。結果、調理器具の半数がウイルスに汚染され、さらに別の食品へ感染を拡大させていた。

 実験に使われたのはキュウリ、イチゴ、トマト、ニンジン、メロン2種類。ギザギザがついているか、鋭利かなどナイフの形状は、汚染されるか否かには関係しなかったという。

 論文の共同執筆者、マリリン・エリクソン(Marilyn Erickson)氏は、AFPの取材に対し、免疫系が弱い人には重要な研究結果だと語った。

 汚染防止の対策についてエリクソン氏は、野菜ひとつひとつを切るたびにナイフを洗うことは実践が困難だと認めた上で、「汚れていないと思い込んで調理台にナイフを放置するよりは、(食器洗浄機か、食器洗浄機と同等の高温で)食事と食事の間にナイフを洗うようにすることが賢明だ」と語った。

 2011年の研究では、米国で最も多い食品由来の疾患はノロウイルスだった。ノロウイルスは、1~100個のウイルスが入り込むだけで嘔吐(おうと)や下痢を引き起こすことがある。(c)AFP