【10月8日 AFP】米国で、汚染された医薬品が原因とみられる真菌性髄膜炎を発症する人が相次いでおり、これまでに全米で91人が発症し、少なくとも7人が死亡した。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)の7日の発表によると、発症例は米国の9州にみられ、最も深刻なテネシー(Tennessee)州では32人が真菌性髄膜炎と診断され、3人が死亡した。

 CDCは、5月21日以降に汚染されたステロイド剤の注射を受けた可能性のある患者に連絡をとるよう医師らに求めている。この薬品は背部痛がある患者に注射されることが多い。

 テネシー州の保健当局は、これまでの調査でステロイド剤を注射した医師らに過失はみられず、ステロイド剤の製造に問題があったとみている。現在、複数の州をまたがって原因調査が進められているが、米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)は、マサチューセッツ(Massachusetts)州のニューイングランド・コンパウンディング・センター(New England Compounding CenterNECC)が製造した密封容器入りの薬剤がかびに汚染されていたことを発見している。原因の特定には更なる調査が必要だが、同社は自主的に全製品をリコールし、操業を停止した。

 真菌性髄膜炎は潜伏期が非常に長く、発症すると初熱や頭痛、うなじの硬直、光に対する過敏症、倦怠感、無感覚、注射した部位の異常(赤み、腫れ、痛み)などの症状がある。

 初期の症状は穏やかなことがあり、手遅れになるまで感染に気づかないことも多い。早期に発見し、入院して抗真菌性抗生物質の静脈点滴を受けるといった治療を受ければ重い後遺症を避けることができる。(c)AFP